米紙「日本はめちゃくちゃ没落しているのに、どうして平然としていられるんだ?”しょうがない”が国民の口癖になってしまっている」
米紙「日本はめちゃくちゃ没落しているのに、どうして平然としていられるんだ?”しょうがない”が国民の口癖になってしまっている」
数十年間ほとんど成長をみなかった景気が、いまや後退段階に。減り続ける人口、昨年の出生数は過去最低。政治が硬直しているように思われるのは、事実上権力を握っているのが一党であり、どれほどスキャンダルまみれになろうと、不支持率が高まろうと、その状況に変わりがないからだ。
日本みたいな現状ならば、社会的荒廃の兆候、たとえばゴミの散乱、路面の穴ぼこ、ピケライン(ストやデモの際に張る監視線)等々を想像するだろうが、それはまず見当たらない。安定ぶりとまとまりの良さはいまも驚くほどで、破滅が差し迫っている感じはほとんどない。
この平穏さは、ことなかれ主義の表れである。「しょうがない」というのが、国民の口癖のようなものなのだ。
日本人が無頓着である理由はわかりやすい。失業率は低く、電車は時間通りに運行し、春になれば桜が咲く。神社やショッピング街は旅行客であふれ、株式市場は史上最高値を更新した。いくぶんのインフレはあったが、ラーメンなら一杯7ドル(約1000円)以下で食べられるし、おかずが複数ある定食でも12ドル(約1700円)ほどだ。
住宅事情は東京でさえも概して手頃だし、国民皆保険制度もある。犯罪件数も少ない。2022年のデータでは、銃による殺人事件は日本全国でたった4件。スマホをレストランに置いてきてしまっても、戻ればおそらくまだそこにあるだろう。
「いまの生活状況には、かなり満足しています」
クラシックの打楽器奏者ツジモト・チヒロ(26)はそう話す。彼は調布にある映画館から妹と一緒に出てきたところだった。日本人は「諦めてしまっていて、自分の生活が充実して健全である限りは、結構幸せ」なのだとツジモトは説明する。「日本は平和ですから」とツジモトは続ける。