【社会】「生活保護の身でえらそうに…」職員の言動に追い詰められ、出した結論「ここに将来はない」
【社会】「生活保護の身でえらそうに…」職員の言動に追い詰められ、出した結論「ここに将来はない」
しかし、申請の意思を伝えても「まだ若いから働けるでしょう」と申請をさせないよう対応する、いわゆる「水際作戦」で拒まれ、代わりに市社会福祉協議会の低所得者向け生活資金貸付制度を紹介された。その後も職は見つからず負債だけが膨らみ、9カ月後にようやく保護が決まった。
1カ月の保護費は約7万円。食費を徹底的に切り詰めた。閉店間際のスーパーで割引シールが貼られた弁当を買って食べ、それすら買えないときはパンやカップ麺でしのいだ。
唯一の移動手段が古い自転車で、タイヤがパンクすると修理代が1200円かかった。数回起きれば、手持ちのお金はあっという間に尽きた。厳しい生活だった。だから、昨年11月に明らかになった1日1000円の分割支給で、決定した月額の半額程度しか受け取れなかった事例は「想像を絶する」と驚いた。
◆「逆らえば保護を切られる」耐え続けた
暮らしたアパートは北向きで日当たりが悪く、くみ取りトイレ。しかも、保護開始から約5年間は市がエアコン設置を認めず、真夏は図書館へ「避難」して暑さをしのいだ。
精神的に追い詰められ、何回も自殺を考えた。榊原さんは「福祉課職員はいつも大声で『保護の身でえらそうなことを言うな』などと威圧的な言動だった。逆らえば保護を切られると思い、耐えた」という。
「このまま桐生市に居続けても将来はない。環境を変えなければ」。数年前に市へ保護辞退届を提出し、制度が認める範囲で続けていた貯金を元手に市外へ転居。そこで職を確保し、現在は自立している。
生活保護制度の改善に何が必要と考えるかを聞くと、まず保護費増額を挙げ、こう続けた。「施しを想起させる生活保護という名称は偏見を助長する。例えば『生活支援制度』『最低生活保障制度』といった名称に変えるべきだ。憲法25条の生存権保障を時代に即したものとしてほしい」