慶應義塾長、大学教育の公平な競争環境を整えるため国立大の学費を「3倍」増額提案に批判相次ぐ

慶應義塾長、大学教育の公平な競争環境を整えるため国立大の学費を「3倍」増額提案に批判相次ぐ

文部科学省・中央教育審議会大学分科会の「高等教育の在り方に関する特別部会」が3月下旬に開かれた。その中で伊藤公平委員(慶應義塾長=学校法人慶應義塾理事長・慶應義塾大学長)が発表した国公立大の学費値上げに関する提案について、SNSでさまざまな声が上がっている。

伊藤氏は、①人口減少時代における大学教育のあり方 ②国立・公立・私立大学の協調と競争を促す学納金体系の確立、の二つについて発表した。

①は文系学部で「学部+修士課程」の5年制コースを国レベルで系統的に導入する、というもの。全ての国立大学のほか高度人材育成を目指す一部の公立・私立大学を想定し「高等教育修了者のレベルを引き上げ高等教育の多様化を図る」目的があるという。

物議を醸しているのは、②の内容だ。伊藤氏は「国公私立大学の設置形態に関わらず、大学教育の質を上げていくためには公平な競争環境を整えることが必要」とし、国公立大学の学納金(学費)を年150万円程度、現状の3倍近くに引き上げることを提言した。「このことで一部の私立大学では経営努力により、国立より低水準の学納金設定で公平な競争に参加できる」とし、奨学金制度や貸与制度についても公私大共通の土壌で整備する必要性を訴えた。

「国公立大の学納金を150万円に」伊藤公平氏が中央教育審議会大学分科会「高等教育の在り方に関する特別部会」での発表に用いた資料(出典:文部科学省ホームページhttps://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/053/siryo/1422495_00005.html)

なお2022年時点の国立大学の学費の平均値は約55万円、慶應大学全学部生の学費の平均値は約140万円だ。

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