残業がなく「週休3日」でも生産性が高い国と日本の違い、働くことに対する価値観を劇的に転換するべき
残業がなく「週休3日」でも生産性が高い国と日本の違い、働くことに対する価値観を劇的に転換するべき
残業がなく生産性が高いオランダ
私は、人口減少社会においても日本が豊かさを維持するために、「戦略的に縮む」という成長モデルを提唱してきた。「戦略的に縮む」ための具体策を推進するには、働くことに対するわれわれの価値観を劇的に転換しなければならない。
「遊ぶ」ことが許されない社会を避けるには、日本全体で仕事の総量を減らすしかない。頭の体操をしよう。仮に勤労世代が1000万人減るならば、社会全体で1100万人分の仕事をなくしてしまうことだ。こうすれば労働力不足が起こらないどころか、100万人の「遊べる人材」を捻出することが可能となる。
では、具体的にどうすべきなのか。
私は「残業のない国」であるオランダを参考にしたいと考える。オランダでは1980年代以降の働き方改革によって、フルタイムとパートタイムの待遇に差がなくなり、働く時間を選択する際の自由度が飛躍的に高まった。結果として、短い時間でも十分な所得が得られるようになり、ワークシェアリングが広がったのだ。
業務範囲は明確化されており、自分の仕事で成果を出していれば、自分のライフスタイルやスケジュールに合わせてさまざまな働き方が認められている。
オランダには、日本人が驚くばかりの光景が広がっている。仕事が残っていてもきっちり定時に帰宅する。「週休3日」という人もいる。長期休暇も当然のものとして取得する。
だからといって生産性が低いわけではない。むしろ、逆である。日本のほうが低いのだ。
日本は人口減少社会になってもなお、「大量生産・大量販売」という成功モデルから脱却できないでいる。少し成功したり、儲かったりすると、さらに売り上げを伸ばそうと設備投資を急ぎ、必死に人手をかき集めようとする。しかしながら、今後は働くことのできる人口そのものが減っていくのだから、こうしたモデルが続くはずがない。
むしろオランダをはじめとするヨーロッパ諸国を参考とし、休むことによって労働生産性を向上させるように社会をシフトすべきときだ。人々の暮らしに時間ができれば子供と向き合う時間も増え、少子化対策にもつながる。