【社会】なぜ日本人は英語が話せないのか? その真相と対策を解説!

【社会】なぜ日本人は英語が話せないのか? その真相と対策を解説!

英語環境に身を置く機会が少ないことも英語が話せない理由の一つです。日本のメディアや日常生活では英語を使用する機会が限られているため、実践の機会が不足しているという面があります。

「英語の読み書きはできても話すのが苦手」「中学から大学まで英語を10年間も学んだのに英語が使えない」という日本人の英語力についての話は、誰もが耳にしたことがあると思います。今回はこの件についての真相と対策について話していきたいと思います。

まず、タイトルの「英語が話せない日本人」が話題に上がる原因は、次の2点に大別できると思います。

1. 中学や高校における英語の学習内容は?
2. そもそも「英語を話せる」の定義は?

まず【1】についてみていきましょう
■中高でどんな英語学習をした?

この記事を読まれている読者の方も中学・高校では毎日のように英語を学習されていたと思います。また、高校・大学受験においても必ずと言っていいほど、英語は受験科目に含まれていたはずです。しかし、その授業や受験科目において、「英語を話す」ことは求められていたでしょうか? もし求められていたとしても、それは大半がレアケースだと思います。

私たちの受けてきた英語の授業を思い出してみましょう。30代や40代の方が中学高校で受けていた授業の中で、どれくらいの時間が「英語を話す」に割かれていたでしょうか?

きれいに分けることは不可能ですが、英語の「読む・聞く・書く・話す」という4技能の割合を考えてみれば、おおよそですが、「読む」80%、「聞く」10%、「書く」10%、「話す」0%程度ではなかったかと思います。つまり、日本人は、中学から大学で英語を10年間勉強してきましたが、「英語を話す」学習はほとんどしてきていないのです。

また、高校・大学入試でも、「英語を読む」試験を経験してきた人はほぼ100%だと思いますが、「英語を話す」試験を経験した人は、帰国子女試験のような推薦試験を受験した人を除けば0%だと思います。

社会人になり、実用的に「英語を話す」ことが必要となったときに、「学生時にはしっかり英語を勉強してきたのに全然使えない」というのは、「話す」トレーニングをしてこなかったから当然のことなのです。逆のいい方をすれば、日本人は学生時に、英語を「読む」トレーニングに英語学習時間のほとんどを費やしてきたので、たいへん英語を「読む」のはうまいのです。

また、この英語を「読む」ことが中心になっている、学校英語教育に対する疑問や批判も耳にすることがあります。経済界からの要求もあり、学校英語教育は、いわゆるコミュニケーション重視の「英語を話す」授業への転換が図られています。

例えば、東京都では、2022年度より中学校3年生を対象にしたスピーキングテストを導入して、その結果を都立高校の入試で活用しています。

こういった英語学習の変化に賛否もあります。私自身はどちらとも言えませんが、「話す」トレーニングも大切ですが、他の「読む」「書く」「聞く」も「話す」と同じくらい大切だと感じています。つまり、英語は4技能をバランスよく学習していくことで、自然と英語が「話せる」につながると考えています。
■「英語を話せる」の定義とは

次に、【2】そもそも「”英語を話せる”の定義」についてです。

「英語を話せる」ことを目標にされている方に多いことですが、そもそも「英語を話せる」の定義が曖昧になっているケースが多くあります。

この件については、少なくとも、「英語を話せる」の「英語」を「日常英会話」と「ビジネス英会話」に分ける必要があります。つまり、シチュエーションによって「話せる」の定義が異なってきます。

私の場合などは、留学経験などはほとんどありません。また、(通訳含めた)仕事で使う英語も多くが「ビジネス英語」であり、ネイティブの人とフランクに話す機会もほとんどないため、「ビジネス英会話」の方が「日常英会話」よりも得意であると言えると思います。その一方で、海外滞在経験が長く、現地のコミュニティーなどで日常的に英語を使われている方などは、「日常英会話」の方が「ビジネス英会話」よりも得意であることが多いと思います。

ですので、まずは自分の「英語を話せる」の方向付けをしっかりすることが大切で、そのことにより効果的な「英語を話せる」学習につながっていくのです。

また、「日常英会話」と「ビジネス英会話」の難易度を比較した場合に、「日常英会話」の方が簡単だと考える方が多いようです。英語のレベルなどを表す際にも、「日常会話レベル」が「ビジネス会話レベル」よりも下位に位置づけされていることが多くありますが、それは大きな誤解です。

大きな理由としては、「日常英会話」は「ビジネス英会話」と違い、話題に上がる内容が予想できません。例えば、仕事において(ビジネスで)英語で会議などが開かれる場合、その議題などから、会議の内容や想定される質問などはあらかじめ予想できます。しかし、日常的な会話では何を質問されるか、または、何を答える必要があるかなど全く分かりません。

最後になりましたが、学生時に英語をしっかり学んできたのに英語が話せないのは、みなさんの学習能力や努力が足りないのではありません。

「英語を話す」トレーニングをしていなかっただけなのです。また、今後は「英語を話せる」の方向付けをしっかり行ってから学習に励まれると「英語を話せる」に効率よく近づけると思います。ぜひ、英語を「話す」学習を頑張ってほしいです。

西田 大 にしだ まさる 1973年生まれ、関西大学文学部英文学科卒業。現在は、静岡英語教室「英語屋」の代表を務める。TOEIC990点(満点)、英検一級、通訳案内士国家資格など。「2016年G7伊勢志摩サミット」など通訳としての実績多数。大学入試問題からTOEIC・英検等の検定試験まで、幅広い分野の英語学習に精通し、その学習法・対策法は注目を集めている。著書に『英語力はメンタルで決まる』(アルク)、『TOEICテストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本』『「音読」で攻略TOEIC L&Rテスト』(かんき出版)などがある。『X』(https://twitter.com/masaru_nishida_)にて英語学習に関する情報を配信中。 この著者の記事一覧はこちら
(西田 大)

画像提供:マイナビニュース

(出典 news.nicovideo.jp)

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