【社会】平均給与40万円…国家公務員、2年連続「夏のボーナス増」も国会答弁作成で「残業終了・翌朝5時」の実態に「もうやってられない!」
【社会】平均給与40万円…国家公務員、2年連続「夏のボーナス増」も国会答弁作成で「残業終了・翌朝5時」の実態に「もうやってられない!」
2年連続、夏の賞与アップとなった国家公務員。人気職業の代名詞ですが昨今は低迷、官僚離れが深刻化しています。その要因のひとつが“激務”。国会開催中に不夜城と化す霞が関の官庁街には、誰もが同情してしまうほど。そんな国家公務員の激務ぶりを、内閣人事局の資料から紐解いていきます。
2年連続増…国家公務員の「夏のボーナス」65万9,400円
内閣人事局によると、国家公務員の夏のボーナス(期末・勤勉手当)は、管理職を除く一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員・平均33.4歳)の平均支給額は65万9,400円でした(平均支給額=支給月収×平均給与額=2.21(月)×29万8,400円(俸給+扶養手当+地域手当等))。
夏のボーナスの増額は2年連続で、昨年から3.5%の増加となりました。また主な特別職のボーナスについては以下の通り。総理大臣と閣僚は行財政改革の一環として一部を返納します。
●最高裁判所長官:約579万円
●内閣総理大臣:約579万円→返納後の額、約392万円
●国務大臣:約422万円→返納後の額、約327万円
●衆・参両議院議長:535万円
●国会議員:約319万円
(一般職)
●事務次官:約326万円
●局長クラス:約249万円
国家公務員の給与は民間準拠を基本としていて、人事院が毎年度国家公務員と民間給与の実態を調査。両者を比較したうえで、毎年8月に、国会と内閣に対して所要の勧告を行っています。そのため、民間の給与が上がったと確認されてから国家公務員の給与にも反映、民間の給与が下がったと確認されてから国家公務員の給与にも反映、とされるので、少々時差が生じます。
昨今、給与アップ、給与アップといわれてきたので、国家公務員も「やっと私たちも……」というのが本音なのかもしれません。
ちなみに国家公務員と呼ばれる約60万人のうち、給与法が適用される職員は約28.5万人。平均月収は40万4,015円。基本給とされる俸給は32万2,487円で、その他、地域手当が4.3万円ほど、管理職手当が1.2万円ほど。そのほか、扶養手当や住居手当、単身赴任手当等が2.5万円ほど加算されます。
またモデル給与として、地方機関係員で年収389万円、地方機関係長で463万円、地方機関課長で676万円。本府省課長補佐で730万円、本府省課長で1,271万円、本府省局長で1,790万円、事務次官で2,349万人。本府省課長相当職とされる人は、行政職の2.1%ほどです。
深刻化する「官僚離れ」…国会答弁作成に「朝まで残業」の実態
国家公務員というと「高給取り」というイメージがありますが、それはほんのひと握り。その構造は民間となんら変わりはありません。しかし、国家運営に関連する仕事ができるということであったり、抜群の安定性だったり、民間にはない魅力により国家公務員は人気でした。しかし、そこに異変が生じているのは、たびたび話題になるとおり。
2024年度の国家公務員の一般職試験の申込者数は、2万4,000人ほどで、昨年から2,000人ほどダウン。総合職試験の申込者同様に、申し込み者数は、前の年度から2000人余り少ないおよそ2万4000人で、先に公表された総合職試験の申し込み者数と同じくこれまでで最少となりました。
またいわゆる「キャリア官僚」となる国家公務員総合職の合格者の顔ぶれをみても、昨今は大きく様変わり。2024年度春実施試験では合格者数1,953人に対し、東大出身は189人。2012年度に現在の試験制度になって過去最少となりました。また試験倍率は7.0倍で、こちらも最低を記録。東大=官僚のイメージがありましたが、最近は国家公務員を避け、民間志向の傾向が強まっています。
国家公務員が避けられる理由として挙げられるのが労働環境。その象徴としてよく言われているのが、国会対応による深夜残業です。
内閣人事局が臨時国会会議中に行った『国会対応業務に関する実態調査』では、委員会開催ごとの最終答弁作成着手可能時刻とすべての答弁作成が完了した時刻を2パターン算出していますが、最終答弁作成着手可能時間は19時台。答弁作成が完了した時刻は、遅いパターンで29時06分。つまり翌朝の5時06分ということ。始発時間が動き出した時刻に、「やっと終わった……」となるわけです。
さらにせっかく大変な思いをして答弁を作成しているのに、居眠りをしている議員たちの姿をみてしまっては……「もうやってられない!」となっても仕方がない話です。
負担のかかる国会答弁の作成に関しては「AIの活用が有効なのでは」という話もありましたが、当時の技術では「誤植が多い」などの理由に加え、「(答弁に)血が通ってない」など少々首を傾げてしまう理由から、遅々として進んでいないよう。
国家公務員離れが続くと「国家の運営力が低下する」と警報を鳴らす専門家も。私たちが思っている以上に深刻な問題です。
[参照]