【社会】4歳男児「自分は女の子なのに何で立ってトイレするの?」…日本人の10人に1人がLGBTQの時代
【社会】4歳男児「自分は女の子なのに何で立ってトイレするの?」…日本人の10人に1人がLGBTQの時代
2019年の秋。幼稚園からの帰り道だった。北海道に住む優子さん(32)=仮名=は、長男の樹(じゅり)さん(9)=仮名=から告白された。
「樹はつぶやくように、突然言い出したんです。『自分は女の子なのに、なんでトイレは立ってしないといけないの? どうしてスカートをはいたらダメなの?』と」(優子さん)
樹さんは、ミニカーや戦隊モノのおもちゃより、おままごとで遊ぶことが好きだった。おっとりしていて争いごとを好まず、女の子とよく遊んでいた。
優子さんは樹さんにいわゆる「男らしさ」は感じていなかった。
「産んだのは私だけど、この子の人生だから否定することじゃないと思った」。驚きはあったが、意外なほどすんなり納得できた。「どんなあなたでも好きだよ」。すぐに気持ちを伝えた。
樹さんも当時をはっきり覚えている。4歳にとって重い決断だった。
「ずっと言うか、迷っていた。いつか言おうって。言ったら何を言われるかなって考えていた」(樹さん)
母親は肯定してくれた。
「ダメとか言わないで、受け入れてくれた。なにがあっても、なんでも相談できるから、すごくうれしい」。小学3年生になった樹さんは、少しはにかみながら振り返った。
カミングアウトから約1週間後、樹さんが人生で初めてスカートをはいた。スカートの裾をヒラヒラさせながら3回まわり、満面の笑みを見せた。
「本当に女の子になりたかったんだって、このときにすごく実感した」(優子さん)
女の子の装いで初めて出かけたのは、東京にある人気キャラクターのテーマパーク。樹さんは終始大喜びで、優子さんは数えられないほど、写真を撮った。
「樹はとにかくすごく楽しんでいた。周りを気にせず楽しんでいる姿をみて、本当に女の子なのだと思った」
「見た目が変わるから」。優子さんは樹さんの同級生の保護者に知らせた。
「カミングアウトが“4歳”だったこともあり、『子どもが遊びで話したことを、親が本気にして大ごとにしている』『男の子、女の子の違いが4歳にわかるわけない』と言われた。かたくなに『樹くん』と呼び続ける保護者もいた」
優子さんはぶれなかった。
「今はもう、そういう世の中じゃない。ただでさえ本人は苦しい思いをしているはずだから親や周りの大人がその思いを増やしちゃいけない」
母・優子さんは小学校入学の2年前から学校側と相談を重ねてきた。学校にとっても初めてのことばかり。トイレは? プール授業はどこで着替える? 次々と課題が浮かんだ。
それでも当時の校長は樹さんに「自分の好きな格好で来ていいんだよ」と声をかけた。かつて「障害者用」と呼ばれていた「だれでもトイレ」を使えるようにし、プール授業の着替えは女子更衣室で最後に着替えるか、担任教諭と別室に行くことにした。
こうした配慮もあって、樹さんは学校生活を楽しんでいる。(抜粋)
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/3ef8459fa346680907152d71d4d26e90c812a3ac&preview=auto