松本人志の代理人が探偵を利用し告発女性を尾行調査…弁護士として適切?

松本人志の代理人が探偵を利用し告発女性を尾行調査…弁護士として適切?

タレント・松本人志さんの代理人を務めている八重洲総合法律事務所は10日、同事務所の行動に関する同日付「週刊文春電子版」(文藝春秋)記事の報道内容を否定するコメントを発表。そのなかで、松本さんから被害を受けたと「文春」に告発しているA子さんの行動を調査するために探偵業者を使ったり、同法律事務所に所属する田代政弘弁護士がA子さんの知人男性に直接面会し、A子さんと連絡を取るために仲介を依頼していたことなどを明かし、注目されている。松本さん側は「週刊文春」の報道をめぐり発行元の文藝春秋らに対し損害賠償と記事の訂正を求める訴えを起こしているが、裁判所での係争中に代理人弁護士がこのような行動を取ることは一般的なのか。また、法曹界の慣習として問題はないのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

興信所を使うのは一般的なのか
 同法律事務所のコメントには、「『週刊文春』に対して事実に反する告発を行った人物を特定すべく調査、検討を行った結果、その可能性のある人物として複数の人物が浮上しました」との記載もみられるが、弁護士が依頼人のために、興信所を使って係争相手側の人物を尾行調査したり、相手側の重要人物への接触を図るという行為は一般的なのか。民事訴訟に詳しい弁護士はいう。

「弁護士による、ということになる。基本的には依頼人から提供される情報のみに基づき訴訟を維持するタイプもいれば、自ら新たな情報を得ようと積極的に動き、ときに係争相手側の関係者と接触して訴えを取り下げさせようと交渉を試みるタイプもいるだろう。感覚的には前者タイプの弁護士のほうが多いと感じる。事案の重要性や、クライアントがどこまでお金を出してくれるかにもよるだろう。興信所を使う費用はそこそこ高額なので、ある程度、資金力があるクライアントではないと難しい。また、弁護士の個々の案件に対するモチベーションにもよるだろう」

「民事訴訟において、相手方が予定している『証人』に出廷してほしくないという考えは、弁護士にとって一般的によくある話です。また、可能なら、事前に接触したいという考えもあり得る話です。実際、刑事事件の『証人』とは異なり、『民事訴訟の証人』への面会を強要したり、威迫したりする類型の行為は禁止されていない(刑事事件の場合、『証人威迫罪』があります)ので、相手方が予定している『証人』に接触しようとすること自体は違法ではありません(もちろん、強要行為、威迫行為自体が、別の犯罪を構成する場合はあります)。

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