【賛否】AIに「裁判官」はできない、なぜなら「良心」が無いから【論説】
【賛否】AIに「裁判官」はできない、なぜなら「良心」が無いから【論説】
竹内浩史判事(61)。元弁護士で市民オンブズマンを務めた経歴があり、弁護士会の推薦により40歳で裁判官に任官し、かつ、自らブログ「弁護士任官どどいつ集」で積極的に意見を発信する「異色の裁判官」である。
皆さんは、「ヒラメ裁判官」という言葉をどこかで聞いたことがありませんか。
ヒラメは、両目を頭部の左側に付けていて、海底で両目を上に向けて生活しています。「ヒラメ裁判官」とは、ヒラメのように上ばかり見ている裁判官を指します。
この言葉は、私が弁護士から裁判官に任官した当時の最高裁長官だった町田顯(あきら)さんが、2004年の新任判事補の任命式の訓示で、「『ヒラメ裁判官』は全く歓迎していない」と言ったことが広く報道されて有名になりました。
では、「ヒラメ裁判官」がなぜダメなのかという私なりの見解ですが、「ヒラメ裁判官」は、次のような思考回路で裁判をします。
まず、自分が担当する事案について、当事者の主張と証拠に基づいて事実認定をします。ここまでは変わりません。
問題はここからです。「ヒラメ裁判官」は、まず過去の類似事案の上級審の判例を検索して探します。うまく見つかったと思ったら、それと同じように判決して「一件落着」、一丁上がりとして、処理件数を稼ぎます。
その何がいけないのか?と思われるかも知れません。しかし、こんな仕事でいいのならば、何も難しい司法試験や司法修習を受ける必要はありません。今の生成AIの方が、よほど迅速かつ正確な判断ができるでしょう。裁判官という職業は、ほかの仕事よりも真っ先に必要なくなります。
それに、全く同じ事件は二つとないはずです。類似判例の中には、よく見ると似て非なる事案のものもしばしばありますし、そもそも、判例は時代遅れとなって変更される可能性もあります。判例に従ってばかりいると、特に重要事件ではこのような誤りが頻発します。
それでは、裁判官のあるべき姿とはどのようなものでしょうか。実は憲法76条3項が以下の通り定めています。
【憲法76条3項】
「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」
この条文によれば、憲法は、裁判官に「良心」を要求しているということになります。
その際に働かせる私の「良心」がどのようなものか、この機会に披露させていただきます。なお、ここでいう「良心」とは、「思想及び良心の自由」にいう「思想」とは一応区別されるものであって、「良識」、「道徳・倫理」、あるいは「信条」というべきものです。
私の良心は、第一に「正直」、第二に「誠実」、第三に「勤勉」です。いわゆるサイコパス、つまり「良心をもたない人」、あるいは「こまった人」ではなく、「まともな人」であれば、順番はともかくとして項目にはおおむね賛同してもらえると思います。なぜならば、「良心」とはまさに、「普通の人の良い心」だからです。(抜粋)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f43a171e43ad4554adeaa340658f4a3b368a5853
だが人間と違って忖度はしないぞ。