【社会】早稲田大まで行ったのに…34歳で月収12万円の後悔。貯金もゼロで「自分は何をやってたんだ」
【社会】早稲田大まで行ったのに…34歳で月収12万円の後悔。貯金もゼロで「自分は何をやってたんだ」
貧困、障がい、宗教二世など、多様な困難を抱える男性をあらわした“弱者男性”という言葉がトレンド化している。弱者男性当事者への取材と膨大なデータ分析で話題を集める新書『弱者男性1500万人時代』では、ライターのトイアンナが「どうせモテない男が寝言を言っているだけ」と過少評価されてきた弱者男性たちの実態を明らかにする。あえて、これまで数量的に定義されていなかった「弱者男性の人口」の推計に踏み切った。
その結果、「最大で1500万人」、つまり男性の約24%、日本人の8人に1人は何らかの弱者性を抱えていることがわかった。決して少数派でない彼らのなかには、一見“強者”と思われがちな高学歴男性や高収入の男性もいる。共感が得られない、孤独な生きづらさの正体に迫った――。
今回は、早稲田大学で哲学を学んだという本田創丸さん(34歳)に迫る。高学歴なのに弱者に陥ってしまった彼に何があったのか。
◆ギャンブル依存で無一文。年収144万円の退廃的生活
貯金ゼロで、財布に入っている現金が全財産。早稲田大学で哲学を学んだ本田創丸さん(34歳)の手取り月収は、平均してわずか12万円ほど。東京都の同年代男性の平均手取り月収の半分以下だ。
「高校時代から哲学にかぶれ、知的好奇心にあふれていたんですが、いざ早稲田に入ったら、時間を守れないルーズさや、目先のお金に飛びついてしまう性格が災いし、3留して中退。メガバンクやGoogleに内定した同級生を冷笑的に見ていた僕は、放送作家になりたくて、小さなラジオ番組制作会社に契約で入社しました。最初はAD業務からで、初任給は5万円。先輩には『六本木ヒルズで一番年収が低い男』と言われてました」
◆激務の合間を縫ってパチンコ屋に通う日々
超ブラックな労働条件にもかかわらず、当時はその異常さに気がつかなかった。
「激務だし、怒鳴られまくりでキツかったですが、憧れの業界だったから『そんなもんなんだろうな』と。激務の合間を縫って、パチ屋に通ってました。本当は行きたくないのに、なぜか無一文になっても“負けたくない”という気持ちが湧いてきて、気づけばパチ台の前に座っている」
◆超ブラックな会社は辞めたが金銭状況は改善せず…
明らかにギャンブル依存に陥っていたが、放送事故を連発して会社を辞めたことで抜け出せたという。ただ、ずっとカネはない。
「今はフリーで動画編集や放送作家の仕事をしたり、グループYouTuberとして活動したりしています。収益はグループで折半するので、最高で自分の月収は20万円くらい。たまにスパチャがもらえますが、不安定です」
◆お金がないこと自体に恥ずかしさはないけれど…
周囲が着々とライフステージを進めていることに、割り切れない心境でいるという。
「30代になって、ちゃんと就職した同級生たちはすでに家庭を持って、大きな仕事を任されたり、お金と時間を使った趣味を楽しんだりと、意外と自由で豊かに過ごしている。一方、デカダンでいることでしか自分を存続できないと確信していた僕は、お金がないこと自体に恥ずかしさはないけれど、今になって結婚したいと思って壁にぶち当たっています。貯金ゼロって現実的に考えて無理ですよね?『せっかく早稲田というクギがいいパチ台に座っていたのに、自分は何をやってたんだ』って感じです」
複雑な“相対的剥奪感”と付き合っていく人生だ。
【本田創丸さん(34歳)】
早稲田大学を中退し、ラジオ番組制作会社のAD、放送作家を経て、サブカルコンテンツを解説するYouTubeチャンネル「おませちゃんブラザーズ」を企画・出演
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※4月16日発売の週刊SPA!特集「[高学歴弱者]の肖像」より