【社会】次々と明るみに出る「宗教者による性暴力」…“自分の性欲に悩んだ”現役牧師が気づいたこと

【社会】次々と明るみに出る「宗教者による性暴力」…“自分の性欲に悩んだ”現役牧師が気づいたこと

現役牧師が自らの性欲に悩んでいたという記事を読んで、心が痛みます。精神的なサポートや適切なカウンセリングが必要だと感じました。

 安倍晋三元首相の銃撃事件を機に、世間の注目を集めるようになった「宗教2世問題」。宗教の信仰が深い家庭に生まれてしまったがゆえに、幼い頃から性暴力を受けてしまう実態があった。

◆仏教系の団体でも権力が存在すれば性暴力は生まれる

 性暴力が起こるのは、なにもキリスト教系だけではない。仏教系の新興宗教において、幼い頃に性被害に遭ったという宗教2世の「たまみか」さんに、当時の話を聞いた。

「私がいた教団は、『人生で起こったつらいことは、ご先祖様の魂が救われていないからであり、ならば自分たちで先祖供養をしましょう』という教えでした。私が生まれたとき、すでに両親が入信していて、自動的にその宗教の信者にさせられました」

 被害に遭ったのは、小学校低学年のとき。地区会長の家に呼ばれ、大学生の息子(信者)と話していたときだった。

「『ちょっと2人でお話ししようか』と部屋に連れて行かれ、あぐらの上に座らされました。そこでバックハグの状態でギュッとされました。最初は抱きしめるだけだったんですが、太ももから鼠径部、背中、顔、髪の毛と、段々と触る面積が増えていったのを覚えています」

◆権力と子供の立場の弱さにつけ込む

 触る以上の行為がなかったのは、「今思えば策略だったと思う」と、たまみかさんは語る。

「顔はかなり近づけてきたんですが、キスはしてこないんです。おそらくそれをしてしまうと、“チクられてしまう”と思ったんでしょうね。かなり卑劣なやり方だと思います」

 中学生になり、教団内の「青年部」で活動している際にも性暴力があった。

「夏休みに、大人と一緒に滋賀県の『聖地』と呼ばれるところに行ってキャンプをするんです。そこで別の地区の30代の男性に、しつこく『大人っぽくてかわいい』『今度ドライブに行こう』『真剣に付き合ってほしい』と迫られたんです。そう言いつつ、教義の真剣な話を交ぜてくるから、権力を利用して丸め込もうとしてきたのかなと」

 以来、異性に対して性嫌悪があるというたまみかさんが教団に思うことは。

「正直、教え自体は『周りの人を大事にしましょう』とか『ご先祖様に感謝しましょう』とか悪いことは言っていません。でも、子供の立場の弱さにつけ込んで性暴力をするのは、この上なく卑怯ですよね」

 ここでも権力と信者同士の関係性の近さが、性暴力を生んでいた。

◆現役牧師が「性暴力は決して他人事ではない」と語るワケ

 世界中で相次ぐ聖職者による性暴力報道に、現役牧師の沼田和也氏は複雑な気持ちだという。許せない、そしてやるせない思いを持つと同時に、「他人事ではない」という思いも去来しているからだ。

「いくら牧師が神に仕える者であろうと、ひとりの『人間』には違いありません。そうなると、性は無視できない存在になってくるのです。公の場で性を語ることが一層難しい立場だけに、人より“抑え込む時間”が長くなってきます」

 そんな沼田牧師も、これまで幾度となく「性」について悩んできたという。

「私も仕事でストレスが溜まっているときには性欲が強くなります。街を歩いていて、綺麗な人を見ていやらしいことだって考えます。特に私は、X(旧Twitter)のフォロワーが宗教者としてはまあまあいて、『投稿を見て教会にきました』という若い女性と触れ合う機会も多い。いつか、どこかの瞬間でムラッと来てしまうことがあるかもしれない。以前は、こんなこと恥ずかしくて口が裂けても言えませんでした。言うべきじゃないし、言ってしまったら神父をクビになってしまうと」

◆性について語り合える場所が必要

 その悩みが解消されていったのは、本の執筆作業を経てからのことだった。

「以前『弱音をはく練習』っていう本を書いていたときです。そこで、はっきりと自分の性欲について書いてから、真正面からその悩みに向き合えるようになりました。性欲とは、抑え込むものではなく、自覚して折り合いをつける存在なんだと気づいたのです」

 沼田牧師は、「牧師には軽やかに性について語り合える場所が必要だ」と語る。

「性暴力を防ぐためには、『性暴力はいけない』とだけ言っていても何の意味もないと思っています。アルコール依存や薬物依存の治療のように、特殊な環境に置かれている牧師や神父が性の悩みを打ち明ける場所があってもいいんじゃないでしょうか。そういう場所がないから、孤独になって、一人で性的な欲望を抱え込んでしまい、どう向き合っていいのかわからなくなり、暴発してしまうと思うんです」

 聖職者の環境も時代とともに変わることが求められている。これは、キリスト教に限ったことではないだろう。

【牧師 沼田和也氏】
王子北教会牧師。10代後半から断続的に引きこもり’04年より伝道者の道へ。著書に『牧師、閉鎖病棟に入る。』(実業之日本社)など

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経ビジュアル アフロ

―[宗教2世が語る[性暴力の実態]]―
「若い女性が人に言わないような悩みを自分にだけ打ち明けてきたとき、好意を寄せられていると錯覚することもある」と沼田氏

(出典 news.nicovideo.jp)

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