【社会】「もう疲れた。今は居心地のいい場所がどこにもない」補導強化にトー横キッズが語った本音。“若者向け相談窓口”にも厳しい声

【社会】「もう疲れた。今は居心地のいい場所がどこにもない」補導強化にトー横キッズが語った本音。“若者向け相談窓口”にも厳しい声

本当に苦しんでいる若者たちが、きちんと支援されるべきですね。社会全体でその声に耳を傾けるべきだと思います。

 トー横が社会問題になって5年以上が経過。ついに行政は今年から相談窓口を設置するも、全国にトー横の亜種は広がっている。大人たちが差し伸べる手は、闇に包まれた若者の元へ届くのか。トー横キッズの本音を探った。

◆重い腰をあげた行政に“居場所のない”若者の反応は?

 居場所のない若者の場であり、犯罪の温床ともされる「トー横」。今や毎年恒例となった一斉補導に加え、たまり場のスペースに資材が置かれ、一部封鎖状態が続いている。

 だが、トー横キッズを取り締まろうとする大人側の意図とは裏腹に、ここを訪れる若者は引きも切らない。昨年12月末にトー横デビューした14歳少女Aがいる。

「親は精神科に通う姉にばかり構って、家に私の居場所はない。ずっと苦しくて小2からリスカしてます。トー横は普通に生きられない私の気持ちをわかってくれて、やっと居場所ができたと思えた」

◆「もう疲れた。今は居心地のいい場所がどこにもない」

 補導への恐怖はないのか。

「別に怖くないよ。家に戻されても皆すぐここに帰ってくるから。私にとってはここが一番安心できる場所なんだから、好きにさせてほしい」

 補導強化で、家に戻る未成年がいるのも事実だが、少年少女のことを考えるとそれが最善策とは限らない。2年前からトー横に通っていた17歳の少女Bのケースはこうだ。

「もう10回以上補導で家に帰らされたけど、そのたびにトー横に戻ってた。家にいたら、過去に私を軟禁して無理やり精神薬を飲ませてきた母親と顔を合わせなきゃだから。もう疲れた。今は居心地のいい場所がどこにもない」

◆トー横ではない地元で居場所を模索する動きも

 トー横から派生した若者の場としてグリ下(大阪)、警固(福岡)は有名だが、同じような現象が埼玉、横浜、千葉、栃木、茨城、和歌山、広島、仙台でも起きていることは興味深い。

「補導強化で別の界隈に流れる人は増えました。やることはトー横と同じ。たむろして酒を飲んだりTikTokを撮ったり。トー横みたいにいつも人がいるわけではなく、毎回SNSで呼びかけてます」

◆「トー横は怖いけど埼玉なら」

 こう話すのは、埼玉県上尾市で「上尾界隈」を立ち上げたという20歳の少年Cだ。

「80人のグループチャットがあって、初日は10人集まりました。ここはヤクザも警察の目もなくてのびのび。トラブル防止で『オーバードーズ禁止』というルールは設けました。『トー横は怖いけど埼玉なら』って人もいる。それでもトー横はなくなってほしくない。あそこならいつも人がいるし一番自由な場だから」

◆相談窓口を歌舞伎町に開設するも…

 一方で、大人側が新たな居場所づくりを試みる動きも。東京都は1月19〜30日の間、社会福祉士らによる若者向けの相談窓口を歌舞伎町に開設。

 会場はトー横に隣接するビルの3階。ニックネームで受け付け可で、身分証や連絡先は不要。「原則都民対象」としつつも住所確認はなく、幅広く受け入れる姿勢だ。

 職員によると初日、2日目とも約20人が利用したという。軽食を食べたり、テーブル席で話したり、ソファで寝たりと、若者の居心地は悪くなさそうだが、その本音は手厳しい。

「係の人は優しかったけど、相談はしなかった。どうせ家出しないで帰れって言われるだけだもん。別のところで相談したこともあったけど意味なかったし」(13歳・少女D)

 この相談窓口は4月から常設予定のほか、こども家庭庁も今年度から「こども若者シェルター」の整備に乗り出すと発表。大人たちが提供する居場所に、若者が集うのか。若者たちの言葉を思うと、一筋縄ではいかなそうだ。

◆トー横にまつわる諸問題

暴力団員らによる監禁暴行
昨年5月、18歳の少年を監禁して暴行し、母親に金を要求した罪でキッズのまとめ役だった徳永晋太郎容疑者(36)と暴力団員の男ら4人が逮捕

②相次ぐ未成年への性犯罪
トー横の王・雨宮ただくにこと水野泰宏容疑者(26)、卍会リーダー・ハウルこと小川雅朝容疑者(33・没)など、中心人物による性犯罪が多発

③補導件数が前年比1.5倍に
警視庁の発表によるとトー横周辺での補導件数は昨年11月末時点で860件に上り、前年度の1.5倍ほどの数値に。一斉補導は3週連続で実施

④市販薬の無許可販売で逮捕
昨年11月、高橋光夢容疑者(21)や男女計4人がOD目的の未成年に咳止め薬を売りさばき逮捕。翌月には同罪で16歳の少女も逮捕された

⑤路上買春が前年比2.7倍に
キッズが売春相手を探すことも多い大久保公園周辺では、昨年1月から12月19日までに140人の女性が客待ち疑いで逮捕され、前年比約2.7倍に

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/ヤナガワゴーッ! 日本駆け込み寺

―[[トー横キッズ]の深い闇]―
腕にリスカ痕が残る14歳の少女。「学校にいる普通に生きてけるコとは仲良くなれない」と話す

(出典 news.nicovideo.jp)

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