【社会】人口の「3人に1人」が「高齢者」に…働き手が一気に減少する「2040年問題」 どんな対策が立てられている? 専門家が解説

【社会】人口の「3人に1人」が「高齢者」に…働き手が一気に減少する「2040年問題」 どんな対策が立てられている? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。今回の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「団塊ジュニアが高齢者になることによって起こる『2040年問題』、必要な対策は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです

◆働き手が大幅に減少する「2040年問題」

1971年~1974年生まれの「団塊ジュニア」が65歳以上の高齢者になる2040年。人口のおよそ3人に1人が高齢者となり、働き手が大幅に減少することから「2040年問題」と言われています。先月おこなわれた、経団連(日本経済団体連合会)の夏季フォーラムでも「2040年問題」が大きな焦点になったということです。

吉田:塚越さん、この「2040年問題」とは何なのか、改めて教えてください。

塚越:「2040年問題」とは、「高齢化」と「人口減少」が進むなかで発生すると予想される社会的・経済的な諸問題を指した言葉です。

2040年頃には、1971年〜1974年に生まれた「団塊ジュニア世代」と呼ばれる層の人々が65歳を超えます。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年には65歳以上の高齢者は3,928万人となり、これは総人口の34,8%を占めるということです。

これがどういう変化かというと、例えば2020年には、15歳〜64歳の「生産年齢人口」が人口のおよそ6割でした。それが2040年にはおよそ1,300万人減少して、人口に占める割合が55%まで下がると見込まれています。

現役世代が減っていくこの少し先の未来の社会では、現在の医療、介護、年金といった社会保障制度の持続性に疑念が指摘されていて、このことから「2040年問題」と名付けられました。

加えて言えば、日本の出生率は去年1.20と過去最低になっています。人口維持に必要な数字は2.07ですから、圧倒的に足りず、これからも減っていくことが分かっています。2040年問題も非常に重要ですが、その先の「危機的状況」も頭のなかに入れてください。

◆社会保障費の負担増、人手不足にどう対応するか

吉田:「2040年問題」は16年後ですが、今、どのような対策が進められているのでしょうか?

塚越:まず2040年問題の大きな課題は社会保障です。三菱総合研究所の試算では、年金や医療、介護といった社会保障給付費は、2020年の132兆円に対して2040年には165兆円と1.25倍に急増します。

政府は、一定以上の所得がある高齢者にも負担を求めるなど、現役世代が高齢者を負担するというだけでなく、能力に応じて支え合う「全世代型社会保障」への移行を目指しています。

また、人手不足の解消に向けて、経団連が5月に外国人労働者の受け入れ環境を議論する「外国人政策委員会」を新設しています。去年末時点で、日本にいる外国人はおよそ341万人で、だいたい人口の2%です。ただこれはOECD(経済協力開発機構)諸国全体のおよそ10%よりも低いです。

毎日新聞は、この外国人政策委員会について、外国人労働者を増やして状況の改善する試みだと報道しています。ただ、やはり、ここまで円安が進行していますので(※放送時点)、外国の方が日本に来て働くことのメリットは残念ながら減っています。

さらにいえば、日本はこれまで国際貢献という理由で「外国人技能実習制度」という名の下で外国人労働者を受け入れていたのですが、実態としては外国人労働者を「安く買い叩いていた」という負の側面があります。

去年の時点で、日本に在留する外国人の技能実習生はおよそ40万人いて、工場などで働いています。今年に入って法改正があり、技能実習制度は廃止され、3年後までに「育成就労制度」というものが新たに生まれます。この育成就労制度にも「これまでとあまり変わっていない」といった批判はありますが、何にせよ外国人労働者を受け入れるのであれば、これまで以上に外国人が日本で暮らす環境や権利の向上が重要になります。

日本人がやらない仕事は外国人してもらうといった尊大な態度は、残念ながらまだ日本社会にあるように私は思います。日本社会を本気で維持しようとするなら、外国人労働者に対する私たちの意識を変えていく必要があるかなと思います。

◆足りない人手は「技術」でカバーする必要がある

ユージ:2040年問題、塚越さんは、どうご覧になりましたか?

塚越:今つくられたインフラというのは、20世紀に整備されたものです。今、水道管の耐用年数は40年と決められていますが、耐用年数を超えて使われている水道管は全国で20%を超えています。こうしたことから、今後は国内のインフラが壊れていくという事態が考えられます。そうなると海外の人が来られなくなってしまう。そして、そのときに直そうと思っても人手が足りないことが予測されるので、「技術」でカバーする必要もあると思います。

水道管の例で言えば、ドローンや人工衛星を使用して問題のある個所を発見するといった具合です。高齢の方の割合がもう少し増えるかと思いますが、こうしたところも考えられていくのではないかなと思います。

<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
人口の「3人に1人」が「高齢者」に…働き手が一気に減少する「2040年問題」 どんな対策が立てられている? 専門家が解説

(出典 news.nicovideo.jp)

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