【社会】19世紀の難破船から未開封のシャンパンなどが100本以上発見される
【社会】19世紀の難破船から未開封のシャンパンなどが100本以上発見される
image credit:Tomasz Stachura/Baltictech
スウェーデン沖のバルト海で発見された19世紀の沈没船に、未開封の高級シャンパンやミネラルウォーターなど飲料ボトルが100本以上が積載されていたことがわかった。
この船は、ロシア皇帝アレクサンドル2世(在位1855~1881年)の宮廷へ向かう途中で難破した可能性があるという。
難破船を発見したのは、ポーランドのダイビンググループ「バルティックテック」だ。発見地点はバルト海に浮かぶスウェーデン領エーランド島の南37kmの海域だ。
沈没船探査のために現場の海底を数年にわたり調査していたダイバーチームだが、この船を見つけたのは偶然だったという。チームリーダーのトマシュ・スタフラ氏によると、彼らが2024年7月11日にほとんど目立たない船の残骸がソナーで発見された時、漁船だと思ったという。
「船には木箱に入ったボトルがぎっしり積まれていました」とスタチュラ氏は語る。
これらのボトルは1850年から1867年の間に製造されたという / image credit:Tomasz Stachura/Baltictech
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ミネラルウォーターのボトルに歴史的意義
大量のシャンパンの発見は話題になるだろうが、実は今回の場合、ミネラルウォーターのほうが歴史的意義が高く重要な意味をもつという。
19世紀当時、ミネラルウォーターは治療効果が高いとされ、ヨーロッパの富裕層や有名人の間で流行の飲み物だったのだ。運搬には護衛がつくほど貴重なものだったようだ。
ミネラルウォーターは密封された陶製のボトルに入っていて、この船の歴史について重要な手がかりをもたらしてくれる。
発見された未開封の大量のボトル / image credit:Tomasz Stachura/Baltictech
封印の形状から、これらボトルは1850~1867年の間にドイツの企業セルターズによって製造されたことが判明した。この会社はフランクフルト北部にあるタウナス山脈の天然水で有名だ。
「陶製のボトルに刻印されたブランド名から、ドイツのセルターズ社製のものであることがわかりました。現在でも製造されていて、ロゴもまさに同じものです」
さらに、沈没船に積まれていた陶製ボトルは現在でも存在する工場で作られていて、さらに詳しい情報を得るために同社と連絡をとっている。
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現在、スウェーデン当局にこの件を通報し、水中考古学者らとさらなる調査プロジェクトに取り組もうとしているが、行政上の制限があり、回収には時間がかかりそうだ。
難破船を調査するダイバーたち / image credit:Tomasz Stachura/Baltictech
年代物のシャンパンはうまいのか?
これらのシャンパンは未開封だったために、まだ飲める可能性がある。はたしておいしいのか?
19~20世紀始めにかけての沈没船からこうした酒類が見つかった例はほかにもある。
かつて、フィンランドのオーランド諸島近くで168本のシャンパンを積んだまま1852年に沈没した船が発見された。関係者たちが170年前のシャンパンを試飲したが、そのお味は「獣じみたテイスト」、「濡れた髪みたい」、「安っぽい味」と、あまりそそられる味ではなかったようだ。
かの有名なタイタニック号にも、もちろんシャンパンのボトルの残骸はあったが、水深3800mのものすごい水圧にもかかわらず、ボトルは破裂することなくそのまま無傷で残っていたそうだ。
シャンパンのボトル内の圧力はかなり高く、なんらかの作用で海水圧とこの圧力が同じになり、爆縮が起こらなかったのではないかと言われている。
References:Diving Conference Baltictech / Shipwreck Loaded With 100 Bottles Of Champagne Found In Baltic Sea | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo