【社会】「配属ガチャ」は公務員にも? 入職後のギャップは「異動が多い」「17時に帰れない」

【社会】「配属ガチャ」は公務員にも? 入職後のギャップは「異動が多い」「17時に帰れない」

公務員といえども、やはり配属先や職場環境によっては過酷な状況もあるんですね。改善が必要ですね。

 かつて「公務員」といえば、学生の「なりたい職業ランキング」などで1位と2位を争っていました。いまでも上位にランクインすることが多いですが、現場では「なり手不足」が問題となっています。

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 総務省のまとめによれば、地方公務員の採用試験(2022年度)の倍率は5.2倍となり、過去30年間で最低の数字となりました。受験者数の減少が続く背景としては、少子化や待遇などへの不満が挙げられていますが、同時に地方公務員の若手職員の退職率も上がっていることから、地方自治体における人材確保は喫緊の課題であることが分かります

 私たちの生活と密接に関わる地方自治体。今回は、転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」(※1)に投稿されたクチコミから、地方公務員が感じた「入職後のギャップ」(※2)を調査しました。実際に働いてみないと分からなかったギャップや、組織が抱える課題を見ていきます。

●配属ガチャは公務員にも

 OpenWorkに投稿された地方公務員のクチコミを見ると、入職後ギャップとして「希望する業務ができるとは限らない」という声が多く見られました。一般企業でも、新卒総合職採用のリスクとされる「配属ガチャ」は、早期退職の理由としても挙げられています。

 地方公務員でも、多岐にわたる業務の中から自分がどの職務に就くのかが分からない、希望する業務に携われるか分からない、という入職後ギャップがあるようです。さまざまな自治体に投稿されたクチコミを紹介します。

 「非常に多種多様な仕事内容がありポストも多岐にわたるため、入都前に自身がやりたいと考えていた業務には就けないと思っていたほうがよい。もし携わりたい業務があるのであれば日頃から周囲にアピールをし、面談の際にも異動シートに明言をして意思表示を行うことが非常に重要。希望先の管理職と所属の管理職に交流があれば、便宜を図ってくれることがある」(建築職、女性)

 「基本的に業務内容や所属部局に関する希望は通らない。与えられた職場で粛々と業務をこなすことを求められるので、それに耐えられない人には不向き」(総務局、男性)

 「行きたい部署には行けないことがほとんどで、そうなった場合のモチベーションの維持や働く意味をもう一度考え直す必要が出てくる」(福祉、男性)

●“定期的な異動”が障壁に

 配属ガチャと同様に多く見られたクチコミが、「定期的な異動」についてでした。長期雇用を前提とし、多くの部署を経験させることでゼネラリストを育成する「メンバーシップ型」の地方自治体。一方、キャリアの多様化や業務の専門化の観点から、専門知識を有するスペシャリストを志向する人材が増えています。

 数年単位で繰り返されるジョブローテーションは、スペシャリストを目指す人材にとっては希望するキャリアパスを歩む上で障壁ともなり得るでしょう。国家公務員は人材確保を目的に、職務内容を明確にした「ジョブ型」雇用の拡大が期待されていますが、地方公務員においても同様と言えるのではないでしょうか。

 「当然だが、幅広い経験を積むのには時間がかかる。その先に何があるのか(結局自分は何がしたいのか)は常に探し求める必要がある。でないと組織に人生が埋もれる。行政課題を高いレベルで解決できることは、今後の人生にとても役に立つ。ただし、専門的な経験を積みたいというのが志望理由であれば、コンサルなどに入社するほうが成長は早い。行政課題に向き合いたい人には、面白い職場(ただし成長は遅い)だと思う」(事務、男性)

 「地元を良くしていきたい、地元で安定して働きたいという理由で入職しました。振り返ると、もう少し専門性が付く企業を選べば良かったと思います。また、必ずしも全員に当てはまるわけではありませんが、公務員から民間への転職は困難で、将来の転職の自由度が下がるという点も意識しておくべきでした」(行政、男性)

●「安定=仕事が楽」では決してない

 ワークライフバランスを入職後ギャップに挙げる声もありました。地方公務員といえば、「残業が少ない」といったイメージがありますが、実際に働く職員の声を見ると、想像よりも激務であることがうかがえます。

 「ワークライフバランスを取れるかどうかは、完全に部署や仕事内容による。人手不足や次々と生じる政策課題により、想像していた以上に忙しい。残業時間などの実態は、入庁前に実際に働いている職員に確認しておくことをおすすめする」(行政、男性)

 「『公務員は17時で帰れる』と思っている人がいまだに多いが、そんなことはない。本庁なら20時ごろまでの残業なんていくらでもあるし、部署によっては深夜2時まで残業の課もある。激務が原因で病気になる職員もいる。ただ、最近は『働き方改革』で労務管理がしっかりと効き始めているが、それでも定時で帰れる部署は少ない」(知事部局、男性)

●おわりに

 地方公務員の入職後ギャップを調査しました。実際に働く職員たちのクチコミを見ると、今の制度のままでは人材確保が難しいのではと危機感を覚える様子が伝わってきます。その一部を紹介します。

 「人的資本にもっと投資すべき。公務員であっても評価制度を明確にして、職員の士気を高めないともったいない。優秀な人が疲弊してしまう今の仕組みを変えるべき」(福祉課、女性)

 「年功序列の体系を崩したくないことは分かるが、実力主義を取り入れていかないと若手の給与は上がらないし、優秀な人材を集めることができないのではないか」(事務職、男性)

 人材獲得競争が熾烈(しれつ)化する中で、公的機関であるという「安定」だけでは人材を確保できなくなっています。多様なキャリアを能動的に選択していく時代において、地方自治体の採用においても柔軟な変化が必要なのではないでしょうか。OpenWorkでは今後も公務員の働き方に注目し、調査・分析していきます。

(オープンワーク)

地方公務員も大変……入職後のギャップ

(出典 news.nicovideo.jp)

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