【社会】「孤独死の現場は盗り放題」ブラック業者がのさばる特殊清掃業界の闇。高額請求やずさんな掃除をする業者も
【社会】「孤独死の現場は盗り放題」ブラック業者がのさばる特殊清掃業界の闇。高額請求やずさんな掃除をする業者も
一人暮らしの老親や親族の死後の整理は、避けられない問題。場合によっては遺品整理業者に頼ることもありうるが、関係者によると悪徳業者も少なくないブラックな業界であるという。被害者や当事者の話から、真相を追った。
◆ブラック業者が跋扈する特殊清掃業界の真実
孤独死や変死現場となった部屋や、ゴミ屋敷などの清掃を行う特殊清掃。だが、「まごのて」代表の佐々木久史氏は「業界は悪徳業者の温床になっているのが現状」と話す。
まず多いのは遺品整理同様、金品の盗み取りだ。人が死んだ部屋には家族や不動産屋が入りたがらないため、警察以外では業者が初めて入ることも多い。すると「取り放題」の状態になってしまうのだ。
また、「すぐに見積もりを取りに伺います」と言う業者にも注意が必要だ。
「金目のものと、資金力をチェックされている場合がある」(佐々木氏、以下同)
◆ターゲットにされやすいのは……
清掃業者に着物を盗まれたことに気づいたが、着物があったことを証明できず、訴えを断念した人もいたとか。
また、「広告の10倍以上の値段を請求された」「お金がないからと断ると『それならローン会社を紹介してやる』と雑居ビルに連れ込まれそうになった」という話もある。
「特に女性や見た目が弱々しい男性はターゲットにされやすい。表示価格はそこまで安くしないが『遺品を買い取り、相殺するので結果的に安くなります』と宣伝する業者もいますが、実際には買い取ってもらえないか、買い叩かれる場合が多いです」
◆体液の臭いを消すには高い技術が必要
そもそも、特殊清掃業者は目利きができない。
「元大臣の部屋を清掃すると、高価そうな品物がたくさん出てきて処理してくれと言われたが、目利きはできない。結局、高島屋に引き取ってもらった事例もある」
また、出たゴミを山や河川などに不法投棄する業者も多い。結果的に安く済んだと思っても、遺品のゴミには個人情報が大量に含まれているため、警察から「不法投棄されたゴミの中からあなたの情報が出てきた」と問い詰められるケースもあるとか。
「こうした悪徳業者は腕もなく、そもそもきちんと清掃しようというつもりもない。ゴミだけ適当に持ち出したり、床を拭いただけで、さっさと終了してしまう。しばらく放置された孤独死の場合、床が体液で濡れていますが、その臭いを消すには大変な技術がいる。結局、きちんとした業者を雇い直すことになる」
悪徳業者のカモにされないためには、知識で武装するよりほかない。
◆特殊清掃業界の5つの闇
①現場からの金品の盗難
現金や貴金属があっても依頼者がわからない場合がある。盗まれたことがわかっても、取り返すのは非常に困難
②不法投棄
個人の情報が詰まったゴミをそのまま捨てられるため、警察から連絡が来る場合も
③高額請求
作業を途中でやめ、続けてほしかったらカネを払えと言うケースも。女性の一人暮らし、知的障害や境界知能の人はターゲットに
④遺品の買い取り
買い取らないか、二束三文で買い叩かれる。そもそも目利きができない。リサイクルショップは目利きができるが、清掃ができない
⑤技術力が低い
数万円で取得できる「民間資格」を取っている業者に多い。遺体の臭いや染み出した体液などをまともに除去できない
【まごのて代表・佐々木久史氏】
’08年、特殊清掃、ゴミ屋敷の清掃などを請け負う「まごのて」を創業。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格を保有する
取材・文/週刊SPA!編集部 写真・村田らむ(まごのて)