【論説】高齢者はなぜエアコンを使わずに熱中症への道を進むのか、リアルな心情と実情を吐露したい
【論説】高齢者はなぜエアコンを使わずに熱中症への道を進むのか、リアルな心情と実情を吐露したい
猛暑の中、なぜエアコンを使わない高齢者が生じるのか。満70歳の筆者が、エアコンを使わない高齢者の心情と実情を吐露したい。
●ショッピングセンターで涼む高齢者
イオンモールやららぽーとなど、大型商業施設には座り心地のよいソファが配置されている。
なかには、大型テレビの前に置かれたソファもあるのだが、夏の暑い時期、そこに座っている人はやはりというか、残念なことにというべきか、高齢者が多い。
気持ちよさそうに寝ていらっしゃる方をみると、幸せそうだなと思う。
が、その席に座るため、朝は何時に出かけたのか、トイレにゆくときに席を確保できるのか……人知れぬ苦労もあるのでは、と考えてしまう。
まことにもって余計なお世話である。が、そんな心配をしてしまうのは、「家でエアコンを使うのは電気代がもったいなので、ここで節約していらっしゃるのだろう」と
考えてしまうからだ。が、それは間違った思い込みかもしれない。
確かに、高齢者は節約を心がける。節約のため、家のエアコンを使いたくないという気持ちはあるだろう。しかし、それ以外の事情もありそうだ。
●広い家で旧式のエアコンだと、電気代が跳ね上がる
高齢者が家のエアコンを使いたがらない理由はなにか。
もちろん、電気代を節約したいためなのだが、そこには複雑な事情も絡んでいる。
たとえば、高齢者は広い一戸建てに夫婦2人もしくは1人で住んでいるケースが多い。
その家は、家族4人とか6人がゆったり暮らすためにつくられ、ムダに広かったりする。
12畳のリビングに6畳のダイニングキッチンがつながり、さらにリビングから2階に上がる階段が設けられていたりする。
広い空間がひとつながりになっているため、冷暖房効率がひどくわるいのだ。
それに加え、設置しているエアコンが10年前、20年前の機種だと、電気代が跳ね上がる。
電気料金が上がっている今、1人暮らし、2人暮らしなのに広い空間で効率のわるいエアコンをフル稼働させる気にはならないのだ。
エアコンを省エネ性能の高い新型に変えればよい、と思うかもしれない。
しかし、木造の一戸建てで広いスペースに対応するエアコンを新規購入しようとすると、恐ろしく高額の機種になってしまう。
それはとても買えない、とあきらめる高齢者は多い。
「エアコンを買い替えず、今の機種でがまんしよう」と考えてしまうのは、体調の問題もある。
●高齢者にとって、「暖かい部屋」は幸せ
じつは、高齢になると、エアコンの涼しい風は必ずしも快適ではない。
冷たい風が当たることで、腕や足の関節が痛くなることがあるし、体全体がだるくなりやすい。
エアコンを作動させている部屋を出て、エアコンなしの部屋に入ると、どうなるか。若い世代なら
「ムッとする暑さ」と感じるだろう。しかし、高齢者の場合、「暖かくて、幸せ」と感じることがある。それくらい、体の状態が変わるのだ。
正確にいうと、高齢者はエアコンが苦手ではなく、エアコンの冷たい風が直接当たることが苦手。
だから、イオンモールやららぽーとのように、冷たい風を感じずに涼しい空間を好むわけだ。
エアコンの冷たい風で体の不調を感じると、なるべくエアコンをつけず、窓を開けて扇風機で過ごしたいと考える。
それを実践しているうちに、水分補給が不足して、熱中症を発症する……そんなケースも多いのではないかと推測される。
続きはYahooニュース
櫻井幸雄 住宅評論家
7/9(火) 11:15
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d542f49290041e9121b76882198e30e97ed27ba4