【Gショック】G-SHOCKはなぜ売れ続けるか 腕時計を「再発明」
【Gショック】G-SHOCKはなぜ売れ続けるか 腕時計を「再発明」
1983年の発売からの約40年間を前半と後半に分けると、前半は機能追加やバリエーション拡張を通じたブランドの確立のステージとみえる。一方、2000年代以降の後半ではそれらの魅力を深掘りしつつ、洗練度に磨きをかけ、グローバル商品化も推し進めた。
タフなイメージをまとう「G-SHOCK」がスーツ姿にもなじむ洗練度を増していったことは、ファン層の裾野を広げる効果を呼び込んだ。新たなイメージをまとった「G-SHOCK」の先駆けになったのは、1996年に発売した「MRG-100」。メタル構造で耐衝撃構造を初めて実現した。
コンセプトは「壊れないメタルウオッチ」。しかし、難題だった。樹脂主体のそれまでの「G-SHOCK」をメタル素材に置き換えるだけでは済まないからだ。メタルは樹脂よりも重いので、衝撃が強く伝わりやすい。そもそもその弱点を乗り越えようと、初号機で樹脂を選んだわけで、言ってみれば「本末転倒」だ。ベゼル(ディスプレーを囲む枠部分)に緩衝性を持たせる新構造がブレークスルーの糸口になった。
ゴツさを抑えた、主張しすぎないフォルムはシリーズ名「MR-G(エムアールジー)」が示す通り、「大人のG-SHOCK」を印象付けた。誕生から13年目で登場した、ケースからバンドまですべてがメタルのタイプだ。以後、「MR-G」は「究極のタフネスウオッチ」で最高峰のシリーズという位置付けを与えられる。
「スーツやシャツに当たらない、ゴツゴツしすぎない形状が支持を受けた。洗練とメカニカル感の両立を目指した」。カシオ計算機営業本部マーケティング統轄部時計マーケティング部の上間卓エキスパートは成功の理由をこう読み解く。
「MR-G」シリーズから2022年に発売された「MRG-B5000」はベゼルが丸くない。初号機の面影を受け継いだ角型フォルムだ。自らのヒストリーへのセルフオマージュに静かなプライドがうかがえる。緻密な研磨を施して、メタルならではの重厚感をまとわせた。
「磨く」という技術は日本が誇る手仕事技の中でも、極めてレベルが高い。「MRG-B5000」シリーズでは外装パーツを細かく分割して微細な部分までも丁寧に研磨。メタルに宿る素材美を引き出した。日本で受け継がれてきた工芸的技術を注ぎこむところにも「日本発」の矜持(きょうじ)が感じ取れる。
「2000年以降は日本からグローバルへの発信を強く意識するようになった」と、上間氏は語る。世界最大級の時計・宝飾品の見本市「バーゼルワールド」にも2008年から参加を重ねてきた。
2010年に登場した「GA-110」は大型ケースのインパクトが強いビッグサイズモデル時代の到来を告げた。初号機以来の「タフネス」が前面に押し出され、「G-SHOCK」の「らしさ」をあらためて確かにした。
続きソース
https://bizgate.nikkei.com/article/DGXZQOLM215QV021062024000000