【社会】妊娠7カ月でも「病院が決まらない」、在日外国人たちが直面する「出産」のハードル
【社会】妊娠7カ月でも「病院が決まらない」、在日外国人たちが直面する「出産」のハードル
妊娠7カ月でも「病院が決まらない」、在日外国人たちが直面する「出産」のハードル
(出典:弁護士ドットコムニュース) |
1 少考さん ★ :2024/06/14(金) 18:39:49.38 ID:bSCyq2fu9
https://www.bengo4.com/c_16/n_17656/
2024年06月14日 10時16分
昨年2月に発生したトルコ・シリア地震では、5万9000人以上の人びとが犠牲になった。
特に被害の大きかった震源地周辺は、少数民族「クルド人」が集住する地域だったことから、この時期、被災によって生活が立ち行かなくなったクルド人たちが、親族を頼って日本にやって来た。その中には妊娠中の女性もいたという。
「出産予定日の1週間前に相談を受けたこともあります。なかなか受け入れてもらえず、複数の病院を回った人もいます。外国の人たちにとって、出産は医療と同様に大変なことが少なくありません」
こう話すのは、埼玉県川口市や蕨市に住む在日クルド人を主に医療と日本語学習の面からサポートしている支援団体「在日クルド人と共に」のメンバーの温井まどかさんだ。
早婚、多産というクルド社会の風習を反映して、来日後に妊娠・出産したクルド女性の場合、たとえ在留資格があっても、その種類によっては出産にハードルが生じることがあるという。
温井さんたちが行政に働きかけたことによって、今年5月に無事、第3子を出産したクルド女性ロナヒさん(仮名)のケースから、在留外国人が直面する出産の問題を考えてみた。
●トルコ・シリア大地震で被災して来日
埼玉県に住む夫のアリさん(仮名)のもとに、妻のロナヒさんが子どもを連れて来日したのは、トルコ・シリア大地震直後の春のこと。支援に関わった温井さんは、アリさんについてこう話す。
「地元で迫害を受けていたアリさんは、数年前に単身来日して、難民申請しました。ロナヒさんと2人のお子さんはトルコに残っていましたが、ご夫婦の出身地であるトルコ南部は地震で大きな被害を受けて、政府の支援もなかなか進まないことから、ロナヒさんはお子さんを連れて日本にやって来たそうです」
来日後ほどなく3人目の子どもを妊娠したロナヒさんは、ここで問題に直面した。日本では、正常分娩での出産には公的保険が適用されず、出産費用は一律自己負担になる。ただし、健康保険加入者であれば、一般的な出産費用とほぼ同額程度の出産一時金が支払われる。
だが、短期滞在ビザで入国したあと難民申請をして3カ月間の「特定活動ビザ」に変わったばかりのロナヒさんは、まだ国民健康保険に加入することができず、平均50万円強の出産費用は夫のアリさんが工面しなければならない。
また、これまで2人の子どもを帝王切開で出産していたロナヒさんは、病院に診察に行った際、3度目の帝王切開に伴うリスクの高さに加えて、手術費が高額になることも説明された。
「帝王切開を重ねた妊婦の子宮筋膜は薄くなっていて、子宮が破裂して大出血するリスクがあるため、手術費が200万円かかると言われたそうです。複数の病院を回って相談したものの、受け入れてもらうことができず、困ったアリさんは仕事仲間の紹介で私に連絡してきたんです。この時点でロナヒさんは妊娠7カ月でした」
●助産制度を使って「無事出産」できた
夫婦と面識のなかった温井さんは、まず在留カードなどを送ってもらい、そのバックグラウンドを確認した。その後、相談した保健センターから、アリさん家族が居住する自治体の病院を紹介された。
「夫妻が暮らす自治体にある市民病院からは『保健センターからの紹介なので受け入れますけど、まずは助産制度を申請してください』と言われたので、書類の準備を手伝って、すぐ申請してもらいました」
入院助産制度は、経済的な問題を抱える妊婦さんが安心して出産できるよう、費用の全額から一部を援助する制度だ。児童福祉法に基づいて定められたこの制度に、国籍要件はない。
出産準備はきちんと進めているか。赤ん坊を育てる環境を調えているか。市の担当者の家庭訪問などを経て、審査を通過し、助産制度を受けられることになったロナヒさんは無事、第3子を出産した。
(略)
出産において、国籍や在留資格を持ち出して「命の選別」を迫るような社会は、政府が掲げる多文化共生に反している。すでに外国人の労働力抜きに成り立たなくなっている以上、国は現実に即したルールと制度づくりを検討すべきだろう。
(取材・文/塚田恭子)
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