【社会】だから業績が絶好調になった…毎日1000通のメールを受け取る社長が起床後真っ先に返信する意外な相手
【社会】だから業績が絶好調になった…毎日1000通のメールを受け取る社長が起床後真っ先に返信する意外な相手
※本稿は、鈴木義幸『「承認(アクノレッジ)」が人を動かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■朝6時起床で部下の日報に真っ先に返答
人を動かすことがうまい人は、とにかくありとあらゆる機会をアクノレッジメント(相手の存在を認める行為)のために使っているようです。そういう人にとっては、サイバー空間すらアクノレッジメントの格好の場となります。
私がコーチングしているベンチャー企業の社長さんの話です。この会社は店頭公開を果たした会社で、ここ数年で社員は20人から5倍近い100人に増えました。現在も業績は好調です。
この社長さんのもとには毎日1000通を超えるメールが来ます。1000通です! これらのメールは自動でソートされ、すぐに読む必要があるメール、後回しにして良いメール等に分けられます。それでもすぐにリターンする必要があるメールは200通近くあるそうです。
彼は朝6時に起きるとまずメールをチェックします。いちばん先にチェックするのが、午前2時、3時まで会社に残って仕事をしていた部下が送った日報だそうです。そしてその日報にはすぐに返事を書きます。
想像してみてください。明け方までへとへとになって働いて家に帰り、わずかな睡眠を取って会社に出てみると、そこには明け方自分が書いた日報への返信がすでに届いているのです。
しかも社長から。そこから感じ取るメッセージが「お疲れ」なのか「体壊すなよ」なのかはわかりませんが、きっとその社員は「ああ、がんばってよかった」と思うでしょう。日報ですから特に返事を書く必要はないのです。そのままにしておいても何の問題もありません。
でも彼はそうしません。うまくいっている会社は、何気なくうまくいっているわけではないんだなと強く思いました。
■クイックレスポンスで信頼関係は作れる
本書の最初で、弊社の立ちあげに協力してくれたアメリカ人コーチのことをお話ししました。
彼に最初に弊社の社長がコンタクトを取ったときは、まだ本当にコーチングが事業として成り立つのかどうか不明瞭で、雲をつかむようなところがありました。日本に招くのもコストがかかることですから、リスクがあったわけです。
その彼とパートナーシップを組んでやってみようと思えたのは、何よりもメールに対する彼の返事がとても速いことでした。
コーチングや、事業の展開の仕方についてわからないことがあって、社長がメールを送ると、時差がある中でどうしてそんなにメールが速く返ってくるんだというくらい返事が速いのです。これを3、4回経験して、自分たちの中における彼に対する信頼はあっと言う間にできあがりました。
それからアメリカ人のコーチたちとのネットワークもずいぶんと広がり、彼らにメールを送ることがしばしばあります。そうするとたまに「今誰それは不在であり、いついつオフィスに帰るので、そうしたらメールを送ります」という文章が自動送信で流れてきたりします。
日本でもこれだけメールのやり取りが普及していながら(前記のベンチャー企業の社長さんほどではありませんが、私も1日200通近いメールを受け取ります)、「今いないからちょっと待っていて」というような自動送信書をもらったことがありません。
■相手に対する承認と感謝の言葉を添えて
向こうが投げたボールに対して、そのボールをすぐに返す、というのは相手に対するアクノレッジメントとなります。逆にボールをいつまでも返さないでいると、その程度にしか自分のことを思っていないのだと思われかねません。
アメリカ人は言葉の上でもシステムの上でも、とてもアクノレッジメントが進んだ国です。アクノレッジメント先進国です。
それは、多種多様の人種、民族が集まっているために、お互いの間に起こる摩擦をできる限り軽減させたいという意識が、アクノレッジメントを進化させたのだと考えられます。
形式だけが進んでしまって、心がついていっていないという問題が昨今のアメリカの一部では見られる気がしますが、形式の部分でも良いところがあれば、私たちも取り入れて良いのではないでしょうか。
みなさんも、メールにはすぐに返信しているよと思っているかもしれませんが、問題は部下から来たメールに対してそれをしているかということです。
「えっ、もう返事が来たんだ」というようなスピードで。できれば相手に対する承認と感謝の言葉を添えて。相手が一瞬そのメールから視線をあげられなくなるような言葉を添えて。ぜひ試してみてください。
■高いリピート率をあげるコーチの共通点
マンツーマンのコーチングは、通常3~4カ月を1クールとして行います。1クールが終わると、もう1クールコーチングを実施するのかどうか、契約を更新する意思があるかどうかをクライアントに尋ねます。コーチングをしていて、ある意味最も緊張する瞬間です。
いくら日頃のセッションで「コーチングは役に立ちますねえ」などとクライアントが言っていても、契約を更新しないということは、結局その程度だったということになるわけですから。
スポーツ選手のコーチが、選手のほうから、あなたの世話にはもうならない、ひとりでやるからと絶縁状を突きつけられるようなものです。
もちろん、リピートする場合もあれば、しない場合もあるのですが、中には頻繁にリピート契約を取るコーチというのがいます。
いろいろとリサーチしていくと、高いリピート率をあげているのは、決して切れの良い「すごい!」と言われるようなコーチングをしているコーチばかりではありません。
それどころか、そういう切れの良いコーチングを表に打ち出すようなコーチの中には、意外にリピート率が低い人もいたりします。
では、何クールも何クールも繰り返しコーチングを受けたくなるコーチというのは、いったい他のコーチと何が違うのでしょうか。いくつか要素はあるのですが、そのうちのひとつはどうも「贈り物」をたくさんしている、ということらしいのです。
■贈り物の向こう側には、相手の努力が垣間見える
例えば、クライアントが部下のマネジメントをテーマにコーチングを受けていたりすると、マネジメント理論として秀逸と言われているような本をわざわざ買って来て贈る。
雑誌に役立つ情報が載っていれば、すぐにコピーを取ってそれを贈る。誕生日などはもちろん覚えていて、カードや心のこもったプレゼントを贈る。出張に行けば、その出張先から短い言葉を添えて絵葉書を贈る――等々、たくさんの贈り物をしているわけです。
贈り物をされるとうれしいのは、突きつめると、自分のために時間と体とお金をわざわざ使ってくれた、その相手の努力が贈り物の向こう側に垣間見えるからです。
ポイントはどれだけの努力がそこに介在するかです。高額であれば良いというものではありません。
億万長者からブランド物をプレゼントされても、その人に対する気持ちは劇的には変わらないでしょうが、同じような暮らしをしている友だちが、本当にいつもお世話になっているからと奮発して買ってくれた物にはありがたみを感じるはずです。
■「味方」を人は簡単に手放しはしない
暇で暇で時間を持て余している人からもらった長い手紙よりも、どこにそんな時間があるのだろうと思うくらい超多忙な人からもらった短い手紙に感動を覚えたりするものです(もちろん内容にもよりますが)。
つまり、リピート率が高いコーチというのは、クライアントに、こんなに自分のことを思ってくれているんだ、味方なんだと始終感じさせているわけです。「味方」を人は簡単に手放しはしないということです。
だからこそ、部下に対しても贈り物をしたいものです。大げさなものでなくても良いから、忙しい合間に贈り物を見つけましょう。
営業の帰りにケーキやお饅頭を買って帰る。出張に出ればお土産を買って帰る。部下の誕生日は必ず自分の手帳に付けておいて、ちょっとしたものをプレゼントする。
部下が悩んでいるテーマがあれば、一方的に自分の考えを伝える代わりに、そのことを解決するヒントとなるような本を贈る。
ちょっと風邪気味の部下には栄養ドリンクを買ってきてあげる――このように君のことを大切に思っているというメッセージを「もの」に乗せて伝えるのです。
自分にはできないなどと言わないでください。犬の世話をすると犬が大事に思えてくるのと同じで、部下に贈り物をしているうちに、部下のことが一層大事に思えてきますから。
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株式会社コーチ・エィ代表取締役 社長執行役員/エグゼクティブコーチ
慶應義塾大学文学部人間関係学科社会学専攻卒業。株式会社マッキャンエリクソン博報堂(現株式会社マッキャンエリクソン)に勤務後、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了。帰国後の1997年、コーチ・トゥエンティワンの設立に参画。2001年、株式会社コーチ・エィ設立と同時に取締役副社長就任。2007年1月、取締役社長就任。2018年1月より現職。200人を超える経営者のエグゼクティブ・コーチングを実施。リーダー開発とともに、企業の組織変革を手掛ける。また、神戸大学大学院経営学研究科MBAコースをはじめ、数多くの大学において講師を務める。
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