昭和に愛されたデパートの「屋上遊園地」はなぜ消えたのか

昭和に愛されたデパートの「屋上遊園地」はなぜ消えたのか

屋上遊園地も、現在では極めてまれな存在となりました。

2023年の時点で常設の屋上遊園地は松坂屋の大阪高槻店と名古屋店、金沢市の大和香林坊店、松山市のいよてつ高島屋、長崎市の浜屋百貨店の5か所でしたが、浜屋の屋上遊園地は2024年5月6日に50余年の歴史に幕を閉じることとなりました。屋上遊園地は、あと4つしか残っていないのです。

なぜ、屋上遊園地は数を減らしているのでしょうか。

ひとつ目の理由としては、1970年代にデパートで大規模火災が連続して発生したことを受けて消防法が改正され、屋上の半分を避難地域として確保することが義務付けられた点が挙げられます。
観覧車やジェットコースターといった大型の遊具の設置が難しくなり、魅力が減少し、客足が遠のく結果を招きました。

ふたつ目の理由は少子化です。いまから50年前、1974年に生まれた子供は200万人以上いましたが、2023年生まれの子供は75万8631人とほぼ3分の1にまで減少しました。

屋上遊園地はシャワー効果という「最上階に集客力のあるイベントや店舗を誘致し、最上層に誘導し、そこから下層へ降りていく途中で買い物をさせる」戦略の元に作られたという経緯があります。
家族みんなでイベントに向かい、終わったら下の階のレストランで食事をし、おもちゃ売り場で買い物をしてもらう商売の形が、子供の減少により困難となりました。

レジャーの多様化や生活スタイルの変化も加わり、家族連れの来客は減少しました。
また、バブル崩壊後にステージイベントの開催が激減したこともあり、デパート側に屋上遊園地を維持する意味がほぼ失われてしまったのです。

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