面倒で入浴したくない「風呂キャンセル界隈」がトレンド入り、「くさすぎ」などの批判コメントに鬱病当事者が理解求める

面倒で入浴したくない「風呂キャンセル界隈」がトレンド入り、「くさすぎ」などの批判コメントに鬱病当事者が理解求める

「風呂キャンセル界隈(かいわい)」という言葉がSNS(ネット交流サービス)で広まり、X(ツイッター)で一時トレンド入りした。<面倒で入浴したくない>という投稿が発端とみられ、<わかる!>と共感する声のほか、<不潔><風呂ぐらい入れ>などの批判も相次いだ。うつ病などやむを得ない事情で入浴できない人もおり、当事者からは「入りたくても、入れないのに」との困惑の声が上がっている。

きっかけとみられるのは4月28日のXへの投稿。<お風呂に入るのが嫌すぎ>として、入浴しなくても使えるドライシャンプーを紹介した。3万以上の「いいね」が付き、引用する形で「風呂キャンセル界隈」というワードが登場した。

入浴を避けられるグッズや工夫について多くの人々が投稿して盛り上がる一方、<不潔以外の何物でもない><くさすぎて迷惑>などの批判的なコメントもついた。

30日ごろからは「うつ病風呂キャンセル界隈」というワードも同時に引用され始めた。単に入浴が嫌いな人たちと、うつ病という事情があって入浴できない人たちが混在していることに気づいたユーザーたちからは、<風呂嫌いとか不潔とかそういうことじゃないのね><頭の「うつ病」が落ちた形で(「風呂キャンセル界隈」の言葉だけが)広まってしまったのが不幸>との声も上がった。

一方で<甘えるな><風呂ぐらい毎日入れ>などのコメントも続いており、うつの経験者たちからは<メンタルを病むとお風呂も家事も何も出来なくなる。なぜ入れないか想像力を持つべき>と入浴の困難さを訴える切実な投稿が相次いでいる。

府中こころ診療所(東京都府中市)の春日雄一郎医師によると、うつ病で脳の機能が低下すると、意欲が起きず、倦怠(けんたい)感も招きやすくなる。必要だとわかっていても日常生活の行動が困難になっていく。中でも入浴は服を脱ぎ、体や頭を洗い、髪を乾かすなど複数の行為が必要なため「思考力の低下によって、行動が組み立てられず挫折しやすくなる」と指摘する。

続きを見る