「運転しかできないくせに」若者はタメ口、老人は命令口調、タクシードライバーを平気で“職業差別”する人たち

「運転しかできないくせに」若者はタメ口、老人は命令口調、タクシードライバーを平気で“職業差別”する人たち

タクシー運転手は過酷な労働環境で働いている。長時間労働と低賃金。十分な休日もない。にもかかわらず、彼らの社会的地位は決して高いとはいえない。インターネット上では、この職業を軽蔑する声さえ見受けられる。

そうした差別意識を端的に表す言葉のひとつが

「雲助(くもすけ)」

である。最近ではあまり聞かなくなったが、かつてタクシー運転手をさげすむ意味で使われていた。いわずもがなテレビでは「放送禁止用語」である。東京の40代タクシー運転手は、こう振り返る。

「タクシーに乗り始めたばかりで、東京をどう回ればいいのかわからない新人の頃でした。六本木で乗せたブランド物に身を包んだ成り上がり風の若者、銀座で乗せた定年を迎えたであろう老人。若者は意味もなく不機嫌で、タメ口。老人は、道を知らない私に対して、やたらと命令口調で、上から目線でした。ふたりとも「運転しかできないからタクシー運転手になったんだろ。道くらい知っておけよ、雲助のくせに」的なことを言っていましたね。あと、私の職歴や過去を知りたがっていたのも印象的でした」

交通・運輸業に求められる敬意

とりわけ交通・運輸業は、日々の暮らしを支える重要なインフラであり、そこで働く人々なくしては、私たちの生活は成り立たない。

パンデミック(世界的大流行)の最中にあっても、感染のリスクと隣り合わせで業務を続けてくれた運転手の姿を、私たちは忘れてはならない。多様な仕事の意義と尊さを理解し、互いの人格を尊重し合える共生社会を作り上げることが、今こそ問われているのだ。

タクシー運転手はエッセンシャルワーカーである。「雲助と呼ばないでください」「差別しないでください」などと弱気な態度をとるのではなく、

「あなたにバカにされる筋合いは、これっぽっちもない」

と胸を張ってほしい。タクシー運転手は社会になくてはならない存在なのだ。

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