日本男性の自殺率、女性の2倍…英紙「時代遅れの日本は、男性が一家の稼ぎ手という考えが根強く、男らしく振る舞うことに疲れている」
日本男性の自殺率、女性の2倍…英紙「時代遅れの日本は、男性が一家の稼ぎ手という考えが根強く、男らしく振る舞うことに疲れている」
女性の社会進出が進むなか、日本の男性は伝統的な「男らしさ」の呪縛から脱却できず、生きづらさを感じていると、英誌が報じている。欧米では1970年代以降にジェンダーロールの転換期が訪れたが、日本社会は変わる機会を逃してしまった──。
10年前、福島充人は当時付き合っていた女性との結婚を考えていた。だが彼は病に倒れ、仕事も休職せざるをえなくなり、結果的に彼女と別れた。
「家族を養えないなら、結婚すべきではないと思ったんです」と彼は振り返る。
日本では、婚姻率の低下や女性の社会進出にともない、男女の関係が変化しつつある。にもかかわらず、「男性が一家の稼ぎ手」という考え方は依然として根強い。
2022年に育児休暇を取得した男性はわずか17%にすぎず、女性の80%を大幅に下回った。日本の女性が家事に費やす時間は、男性より5倍も長い。
一般社団法人「リーン・イン東京」が2022年に実施した調査によると、日本人男性の60%以上が、「男らしく振る舞わなければ」というプレッシャーにより職場で生きづらさを感じているという。
日本はG7(先進主要7ヵ国)で最も自殺率の高い国だが、男性の自殺率は女性の2倍である。
福島が運営に携わるホットラインは1995年に設立された。不安を抱えた男性が匿名で悩みを打ち明けられる場を提供し、家庭内暴力を減らすことが主な目的だった。
以来、ホットラインには人間関係、性、仕事など、多岐にわたる悩みが寄せられている。
「男らしく振る舞うことに疲れ、解放されたいと思う男性が増えています」と福島は語る。
政府もこの問題に関心を示している。2010年には男女共同参画基本計画のなかに「男性相談」の推進が盛り込まれた。いまや、こうしたサービスを提供する相談センターは80ヵ所を超えている。