「友達がいなくても楽しく生きられる」は本当? 専門家「自分が望む以上に孤立してしていなければ問題ない」
「友達がいなくても楽しく生きられる」は本当? 専門家「自分が望む以上に孤立してしていなければ問題ない」
そんな中、「友達がいなくても人生を楽しく生きられる。むしろ友達はいらない」といった友達不要論と、「友達の数が健康状態に反映される。友達がいないと健康状態が悪くなり、寿命も縮む」といった友達必要論がネット上などで登場しており、ときに両者は対立することがあるようです。
なぜこのような極論な理論に分かれてしまうのでしょうか。そもそも正解はあるのでしょうか。真鍋さんが解説します。
米国のハーバード大学は、80年以上にわたって幸福に関する研究を進め、大規模な追跡調査を実施してきました。この研究の現在の責任者で精神科医のロバート・ウォールディンガーと、副責任者で心理学者のマーク・シュルツは、「どの研究の知見も、人とのつながりの重要性を示している。家族や友人、地域社会とのつながりが強い人の方が、そうでない人よりも幸せで、肉体的にも健康だ」と指摘しました。
このような研究成果だけを見ると、友達必要論が優勢のようにも思えてきます。しかし、注意が必要です。先述のウォールディンガーとシュルツは、「自分が望む以上に孤立している人は、他者とのつながりを感じている人よりも早い時期から健康状態が悪化する」というように条件を付けているからです。
つまり、極端な話、「友達がゼロでも苦にならない。かえって1人の方が楽」という人は当然いるわけで、この人は「自分が望む以上」には孤立していないのです。
結論的には、友達の数や必要性は「人による」となりますが、やはり問題なのは、先述の「自分が望む以上に孤立している人」です。しかも孤独感は、極めて個人的なものなので、家族や友人に恵まれていても強い孤独を感じる人もいますし、常にいろんな土地を渡り歩いているような独り者にもかかわらず、まったく孤独を感じない人もいます。
いずれにしても、誰もが目指すべき模範となる友達関係というものは存在しませんし、何が「友達」を意味するのかも自明ではありません。ただし、「人間関係の質」が幸福の主要な因子であり、健康にも大きな影響を与えることもまた事実のようです。