日本で車椅子利用者を「わがまま」や「悪質クレーマー」呼ばわりがなくならない理由がこちら
日本で車椅子利用者を「わがまま」や「悪質クレーマー」呼ばわりがなくならない理由がこちら
映画館のプレミアムシートや無人駅といった健常者が普通に利用できる施設を、障害者も普通に利用できるようにするべきだという要求が障害者のワガママにみえてしまうのはなぜか。それは、そうした人々にとって障害者とは、健常者に負担をかける存在であり、健常者が障害者を助けるのは健常者の「善意」に基づいていると考えられているからだろう。従って障害者は謙虚であるべきであり、常に感謝を忘れてはならない。健常者が障害者対応は不可能だと述べたときは大人しく従うべきだ、ということになる。
このような思考の前提となる、障害者が様々なことを自分でできないのは障害者自身がもつ「障害」のせいであるという考え方を、障害の「個人モデル」という。しかし、実際にこの社会で進められている障害者政策、たとえば障害者差別解消法は、障害の「個人モデル」ではなく「社会モデル」に基づいている。なおイオンシネマがこの問題に迅速に対応し、謝罪と再発防止、設備の改善に言及したのは、この障害者差別解消法によって、4月から事業者に対して障碍者への「合理的配慮」が義務化されるからでもあるだろう。
障害の「社会モデル」の考えでは、たとえば二足歩行者か車椅子利用者かといった身体的な特徴の違いに優劣はないとされる。ではなぜ車椅子利用者は二足歩行者に比べて可能なことが制約されているのか。それは、社会が二足歩行者を前提としてつくられているからだ。二足歩行者のためにつくられた狭い入り口や通路、段差が車椅子利用者の「障害」となって立ちはだかるのだ。