昨年の輸入コスト上昇分を除いた国内起因の物価上昇(便乗値上げなど)賃上げに回らず、「強欲インフレ」と批判される事態に

昨年の輸入コスト上昇分を除いた国内起因の物価上昇(便乗値上げなど)賃上げに回らず、「強欲インフレ」と批判される事態に

国内起因のインフレ(物価上昇)分は、働き手にほとんど回らず――。2023年度の国内総生産(GDP)の分析から、そんな実態が浮き彫りになった。欧米ではコスト高以上の値上げをして利益を上げる企業行動は「強欲インフレ」と批判される事態に。専門家には「日本も同様の状態だ」との見方もある。

国内起因での値上がりを示す指標「GDPデフレーター」は、コロナ禍以降も大きな上昇は見られなかった。22年度は0.8%上昇。消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が3・0%上昇と、第2次石油危機があった1981年度以来41年ぶりの伸びだったのとは対照的な鈍さだった。物価高の原因が主に原油などの資源高を受けた輸入物価の高騰だったからだ。

過去最高の上昇率となった23年度のデフレーターは、その多くを企業収益の伸びが占めた。働き手の賃上げ分がデフレーターの上昇に占める割合はわずか8%で、22年度の割合(52%)と比べても、大きく下がった。

23年度のこうした国内の状態について、「強欲インフレ」の可能性を指摘する声もある。

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