“月給40万円で3食付き”の案件も…「着ぐるみの中の人」の実態。夏と冬はとにかく地獄

“月給40万円で3食付き”の案件も…「着ぐるみの中の人」の実態。夏と冬はとにかく地獄

“月給40万円で3食付き”の案件も…「着ぐるみの中の人」の実態。夏と冬はとにかく地獄 | ニコニコニュース

現在は俳優として活動する金子瞳さん(仮名・24歳)は、大学生時代から劇団に所属し、現在は芸能事務所に所属しながら演技だけで食べられる日を夢見ています。とはいっても、本業のほうではほとんど仕事がなく、基本的にはバイトで生活費を稼いでいるんだとか。そのバイトというのが着ぐるみの中の人」なのです。

◆空いている日はほとんど着ぐるみの中に

「これまでは、高額なバイト料をもらえるラウンジでも働いたのですが、お酒も飲めないし接客も苦手なので途中で断念。そんな私の性格を知っていて、事務所の方が着ぐるみのバイトを紹介してくれたんです。うちの事務所は所属している芸人さんが営業で地方を回っているので、自治体やアミューズメント施設との付き合いがあります。そのツテを活かして着ぐるみの仕事を斡旋してくれるんです

「実は、中に入っているのは女性が多い」と金子さんは説明してくれました。

「サイズ的に女性が合っているんですよね。加えて、施設によっては踊りもしますし、その着ぐるみの設定通りの動きをしないといけません。だからなのかエンタメ関連の仕事をしている人が採用されるケースが多いようです。いまでは、直接依頼も来るようになりましたね。最近では、空いている日はほとんど着ぐるみの中にいます(笑)」

◆「1ヶ月間で40万円」もらえる案件も

スケジュールによっては、住み込みで仕事をすることもあるそうです。

遊園地などの地方のアミューズメント施設では、春や秋の行楽シーズンに着ぐるみに入れる人を総動員します。イベント期間中は宿泊施設を用意されるんです。とある遊園地の萌え系キャラの着ぐるみは、常に動く時にかわいらしい仕草が必須。完全になりきれる人材として、イベント期間中は私に必ずお声がかかるようになりました。朝のお客さんのお出迎えから、イベントショー、さらにハイタッチ会などもあり、休憩時間もないくらい着ぐるみに入りっぱなし。1ヶ月間で、バイト代は40万円で朝昼晩と食事付き。かなりおいしい仕事で、春と秋の年2回は必ず参加しています」

◆夏と冬は「とにかく地獄」

着ぐるみのキャラになりきることは、本業である俳優の仕事の訓練にもなると話す金子さん。ただ、時には地獄のようなシチュエーションを体験することもあるとか。

夏と冬はとにかく地獄です。夏に関しては、暑さがひどい上になかなか給水するのも難しい。酷暑の日などは、3人交代制で着ぐるみに入ることもあります。でも、造形上、空気が抜ける穴を作るのが難しく、常にサウナの中にいるような状況です。しかも、タイトな作りの着ぐるみの場合は、ペットボトルや水筒を持ち歩くのも難しく給水も出来ないことがある。常に熱中症になる危険と隣り合わせで働くことになります。また、冬は冬で足元から体の芯まで冷え切り、震えが止まらなくなる。着ぐるみに入っている間は倒れるわけにもいかないので、緊張感を持ちながら仕事するのでへとへとになります」

着ぐるみ仕事を本業にしても良いかも

さらに、恐ろしいのは着ぐるみに群がってくる子どもたちの対処。

子どもをメインに相手をしますから、危険と隣り合わせです。ショーを行う場合は触れ合うことが無いので良いですが、園内を着ぐるみがウロウロするタイプの施設は危険度マックス。叩いたり蹴ったりしてくるのはもちろん、悪ふざけで着ぐるみの頭を取られそうになったとしても無言で対処しないといけない。小学生低学年くらいの子はちょうどお腹のあたりに目線があるので、腹部に思いっきパンチを食らったことは何度もあります。うずくまるわけにいかないので、必死で着ぐるみの中で痛みに耐えています

気苦労も絶えない着ぐるみの仕事ですが、金子さんはやりがいを感じており、仕事に対しての愛着もあるようです。

「俳優の仕事は舞台が中心で、テレビや映画の仕事は年に数回だけ。しかも、ちょい役やエキストラばかりです。そう考えれば、関東近辺だけでも多くの依頼をいただけるようになったので、これを本職にしてもいいかなと思うこともあります。アミューズメント施設だけでなく、商工会議所などがご当地キャラを作ったりと、着ぐるみは至るところで稼働していますから。現在は、付き合いがある施設や自治体の仕事ばかりで、むしろ新規は断っている状況。信頼を勝ち得たので仕事は山ほどあるし、着ぐるみのプロとして食べていける自信がありますからね」

プロ着ぐるみパフォーマーを派遣する会社もいくつかあり、需要の高さは実証されている。過当競争となる俳優の世界で成功するよりも、着ぐるみで売れる道を選んでも良いのかもしれない。

<TEXT/高橋マナブ>

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

―[レアなバイト体験談]―
画像はイメージです

(出典 news.nicovideo.jp)

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