英検3級に何度も落ちた私が、なぜ通訳になれたのか…英語習得に失敗する人がやりがちな「NG勉強法」
英検3級に何度も落ちた私が、なぜ通訳になれたのか…英語習得に失敗する人がやりがちな「NG勉強法」
英検3級に何度も落ちた私が、なぜ通訳になれたのか…英語習得に失敗する人がやりがちな「NG勉強法」 | ニコニコニュース
※本稿は、武智さやか『語学書ベストセラー100冊を研究して「最強の英会話本」を作ってみました。』(Gakken)の一部を再編集したものです。
■ワンオペ育児をしながら英語の国家資格に合格
私は20歳まで英語が全く話せなかった状態から独学で英語を習得しました。恥ずかしながら英検3級に何度も不合格というレベルから、2年後には独学で英検準1級に合格。そして通訳ができるレベルにまで上達させることができました。
またその後も8年のブランクを経て、妊娠中にたった2カ月の独学で英検1級に一発合格。TOEIC940点も取得。出産後はワンオペ育児をしながら、英語唯一の国家資格である全国通訳案内士試験に10カ月で一発合格することができたのです。
自分のこの英語習得の経験からも、強く感じています。英語習得がうまくいくかどうかは「自力でいかに学べるか」、これで決まるということを。
ただ多くの方が、自分で勉強しようと固く心に誓っても、挫折してしまう。そんな経験があるのではないでしょうか。
■独学のコツは「余計なことはやらない」
今、自分自身の失敗を振り返り、また過去の私と同じように英語で悩む生徒さんたちを見て思うのが、自己学習がうまくいかない原因は「余計なことをやりすぎているから」。それに尽きます。
ただでさえ、忙しい毎日。その中で優先順位が決して高いとはいえない英語の勉強に多くの時間を割くなんて無理です。そして、続きません。
あなたが英語を上達させたいなら、今すぐすべきことは「やめることを決めること」。そして、最低限必要な基本をまずは丁寧に習得する。
これが独学を成功させる、そして結果として英語を上達させるための第一歩なのです。
■英語の点数が足りず志望学部はすべて不合格に
冒頭から偉そうなことを言っている私ですが、実は何を隠そう私自身が、余計なことをやりすぎ、遠回りし、英語習得に長年苦しんできた一人でした。
現在私は、大学の英語講師やオンラインの英語コーチとして、学生、社会人、主婦、年配の方まで様々な方々の英語習得のお手伝いをしています。と同時に、英語のレッスンをしていきたい先生に向けてのサポートを行うスクールも経営しています。
このように英語を使って仕事をしている私ですが、実は15年前まで、全く英語ができませんでした。
中学校時代に市の海外派遣事業に参加し、タイの学校で現地の学生さんと2日間交流する機会があったことをきっかけに、「海外の人ともっと仲良くなりたい! たくさんおしゃべりしたい!」「もっとその国のことを知りたい!」と、海外に興味を持っていきました。
そんな想いがある反面、学校の英語の授業に全くついていけず、いつの間にか英語が苦手科目に。成績はどんどん下がっていき、大学入試は英語の点数が足をひっぱり、ずっと行きたかった教育学部に全て不合格……。唯一受かった大学に進学するも、毎日ある英語の授業に苦戦する日々。
「自分のこの英語力を何とかしたい……」と思っているのに、どうしたらいいかわからない。英会話教室に通うようなお金もない。
そこでアルバイトをしてお金を貯め、度々書店へ行ってよさそうだと思った語学書を買い、その本に書いてある勉強法を試す、ということを繰り返しました。
サボったりせず自分なりに努力していたのですが、英語力は一向に上がらず、語学書だけがどんどん増えていく、そんな状態になっていたのです。
■やってはいけない「フレーズ丸暗記」勉強法
英語は数学や社会のようなお勉強科目と認知されていますが、私はそうではないと思っています。体育と同じ、実技科目です。体育も競技によってルールがありますし、実技なくして成立しませんが、英語もまさにそうなのです。
ただし、「英語はトレーニング!」「とにかく実践あるのみ」「アウトプットしなきゃ!」と思い立った後、多くの方が犯してしまうある間違いがあります。
それは、フレーズをそのまま丸暗記することです。
何を隠そう私自身がフレーズ丸暗記ばかりして、英語習得に挫折した一人。大学時代、アメリカ人の先生の話を聞いて意見を言う英語の授業は、まさに私にとって過酷なトレーニングでした。先生の言ってることが全然分からない。そして自分が言いたいことも言えない。何の授業が行われているのか、怒られても何で怒られているのかさえさっぱりわからない、そんな悲惨な状況でした。
周りの同級生がペラペラと話しているのを聞き、「とにかく自分も英会話のフレーズを覚えなければ!」と意気込み、書店でフレーズ集を購入。付属のCDを聞いて、英語のフレーズを最初のページから丸暗記。
でもその努力の甲斐も空しく、何度本を読んでフレーズを覚えようとしても覚えられず、フレーズ丸暗記法は失敗に終わったのです。
■Can I bring this on the plane? が記憶に残らない理由
フレーズを丸暗記しても、英語は話せるようになりません。丸暗記が効果的ではない理由は2つあります。
1つは、人はイメージできることや必要だと思うことでなければ記憶に残りにくいこと。
例えば、「これ、機内に持ち込めますか?」というフレーズ。英語ではCan I bring this on the plane? と表現できますが、これって当面海外に行く予定がない方にとっては、日常で使わないフレーズで、必要性も感じられないですよね。そうなると覚えても使わないので忘れてしまいますし、そもそも必要と脳が判断しなければ記憶にさえ残らないのです。
実際に、遠藤雅義先生の『英会話イメージリンク習得法』(英会話エクスプレス出版)に、英会話を習得していく過程は「自分が使える英文を蓄積していく過程であり、その英文は自分の中でイメージすることができるもの」だと書かれていますが、まさに自分が使う場面がイメージできる英文を増やしていくことをしないと、英語を習得しているとはいえないのです。
■丸暗記では応用が効かせられない
フレーズ暗記が効果的でないもう1つの理由は、応用が効かないこと。
例えば、先ほどのCan I bring this on the plane?
この表現を、「持ち込む=その場所に運ぶ」というイメージで言い換えることができていたら、
「これ、車に持っていってもいい?」と言いたい時にも
Can I bring this on the car?
とすぐに使い回すことができます。
ただ、機内に持ち込める=bring this on the planeと機械的に丸暗記してしまったら、その言い換えもすぐにできないでしょう。
では、フレーズを覚えるのが効果的ではないとなったら、一体どんな方法でトレーニングをすればいいのか。実は最強のトレーニング方法は……「独り言」です。
■日常の場面を英語にして独り言で口に出す
フレーズ暗記に挫折した私はその後、いろいろな本を読み漁り、また周りにいる日本にいながら英語が話せるようになったという方の体験談を聞きまくっていました。
するとどうやら「独り言」が非常に効果的な練習法のようだ、という結論に辿り着いたのです。
みんな家で「自分がこんなこと話したいな」と妄想したり、「あ、これ英語で何っていうんだろう?」って思ったのを話したり。それを一人でブツブツ練習してきた、というのです。
実は英語が話せるようになるには、あるプロセスが存在します。
それは
(2)それを英語にする
(3)口から発する
私の場合、この2番の「自分が言いたいことを英語にする力」が全くないということに、その時気が付いたのです。
単語やフレーズの知識ではなく、その知識をどう使いこなすか。これが重要で、英語が「わかる」ことと「使える」ことは全くの別物。それを痛感したのです。
■「知っている」ではなく「使える」フレーズを増やす
そこから、単語やフレーズを覚えるという勉強法をやめて、自分が言いたいと思う日本語を英語にする練習を始めました。
まずは大人気の『起きてから寝るまで』シリーズ(アルク)を使い、自分の毎日の行動を英語で表現する練習をし続けました。最初は「『目覚まし時計』って英語で何て言うんだろう?」など単語から始めて、だんだん「今から学校へ行きます。」などの文を英語で考えるようになっていきました。
このようにして、“知っている”単語やフレーズの量よりも、“使える”単語やフレーズの量を増やしていったのです。
そしてそこからは、ふと思った自分の気持ちや今日あった出来事、あるいは友だちや彼氏とカフェに行って話しているのを想像して独り言を言っていました。側から見たら怪しいかもしれませんが、英語ってこの泥臭いコツコツとした作業が一番実を結ぶのです。
森沢洋介先生の大人気シリーズ『瞬間英作文トレーニング』(ベレ出版)にも、日本語を見て英語を口にするトレーニングがたくさん掲載されていますが、一定期間これをトレーニングすることで英作文回路を自分の中に作っていくことが必要だと書かれています。
英語はトレーニング。何度も繰り返して鍛えていきましょう!
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オンライン英語起業塾主宰、英語コーチ
同志社大学在学中に独学で英語の学習をスタート。1年で英検準一級を取得し、英語講師・通訳の仕事を得る。その後も独学を続け、妊娠中に英検1級、子育て中に独学10カ月で全国通訳案内士試験に一発合格。その経験を活かして英語講師養成、英語教育事業のサポートを行う塾を設立。のべ200名を超える英語講師の独立を支援。
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