【マスクなしで薬ください】新型コロナ感染拡大で医療現場から寄せられる阿鼻叫喚・・・増加する “常識外れ” の患者たち
【マスクなしで薬ください】新型コロナ感染拡大で医療現場から寄せられる阿鼻叫喚・・・増加する “常識外れ” の患者たち
厚生労働省は7月12日、全国に約5000ある定点医療機関で、1日から7日に報告があった新型コロナウイルス感染者数が全国で3万9874人となり、1定点あたりの感染者数が8.07人だったと公表した。先週の約1.39倍から9週連続の増加だ。
都内に勤務する内科医はこう語る。
「新型コロナの患者さんは、6月からじわじわ増えてきた印象です。少し増えて、学校や家族でさらに感染が広がることでまたさらに増えるという拡大フェーズに入った印象です。お子さんから家族全員感染というケースも散見されます。症状は、強い喉の痛みと発熱、大人でも38~39度の高熱が出る人が多いですね。そのあとに咳が数週間続いている人もいます。以前から言われていますが、高齢の患者さんはより症状が重い印象です。しかし、入院が必要になり他の病院に紹介したとしても、すぐに受け入れが決まらないこともあります。
コロナ禍を繰り返さないことを祈るばかりです」
感染拡大の原因はいったいなんなのか。阿鼻叫喚の医療現場から聞こえてきたのは、新型コロナ患者たちの “非常識ぶり” だった。
都内の病院に勤める20代の看護師は、こう嘆く。
「“常識外れ” の患者が増えて困っているんですよ。発熱があった場合、本来は予約してから来院してもらいたいのですが、ほとんどの患者さんはいきなりやってきます。しかも、ずっと前にワクチンを打ったことでいまだに免疫があると思い込んでいる様子なんです。症状が軽い人は、ほとんど休まずに出勤したり学校に通っているかもしれません。本来は10日間ほど “外出禁止” にしてほしいのですが……」
別の看護師もこう語る。
「学校や職場で『コロナが流行っていて、うつりました』と受診する患者が、平気な顔でマスクをしないまま来院するんですよね。病院内ではマスクをお渡しして、着用してもらいますが、『ここまで来るのにウイルスを撒き散らしてるのよ!』と内心呆れますよ」
薬局でも感染が広がっている可能性がある。
「コロナ禍では、処方箋でコロナ患者さんとわかるようになっていましたが、いまはわかりません。処方する薬は普通の風邪と同じなので、薬を渡す際に初めてコロナだとわかることがほとんど。マスクをしないまま待合室で高齢者や妊婦さんの近くに座っていたときもあって、うつらないことを祈るばかりです。カウンターにもマスクなしでやってきて『薬ください』という患者さんは多いですよ。アクリル板が置いてありますが、隙間もあるので、コロナに感染する薬剤師が後を断ちません」(薬剤師)
新型コロナウイルスが5類に移行されてから1年ちょっと。新型コロナウイルスが “危険な病” であることに変わりはない。
「5類認定というのは、医学的な妥当性のみではなく、医療経済学的な問題や政治的な問題もあると思いますので、とやかく言うつもりはありませんが、医療現場の負担は加味してほしいとは思います。
新型コロナに感染すると、高齢者は明らかに肺炎になりやすく、治ったとしても、全身の身体機能が低下して家に帰れない、施設に入所する、そのまま病院で亡くなるといったケースは非常に多いです。やはり “ただの風邪” ではないことを改めて認識すべきだと思います」(函館稜北病院総合診療科の舛森悠医師)