【世界は核の恐怖に再び直面】ロシアのプーチン大統領、戦術核使用を示唆
【世界は核の恐怖に再び直面】ロシアのプーチン大統領、戦術核使用を示唆
ロンドン中心部を流れるテムズ川の近くに、第二次大戦で英国を勝利に導いたウィンストン・チャーチル元首相(1874~1965年)の銅像が建つ。
その視線の先にあるのは、英国議会だ。今も「後輩たち」を見守るチャーチルは、戦後の1952年、その議会で核保有を宣言した。
だが戦後、どの国も実際に核兵器を戦場で使うことはなかった。チャーチルはこの状況を「恐怖の均衡」(balance of terror)と呼んだ。
米ソ核戦争の一歩手前だったキューバ危機(62年)などもあったが、全体としては核の抑止力が一定の秩序を担保していた。
戦術核使用を示唆するプーチン露大統領
だが現在、世界は核の恐怖に再び直面している。ウクライナ侵攻後、プーチン露大統領は何度も核使用を示唆。
使用を検討しているのは「戦術核」(非戦略核兵器)とされる。
これは主に戦場での実戦使用を想定した射程500キロ以下の核兵器で、敵国の軍事拠点や人口密集地などを大規模な壊滅状態に追い込む「戦略核」とは区別される。
プーチン氏は3月に露メディアのインタビューで、「(戦術核も含め)すべての兵器を使う用意ができている」と述べ、「核の3本柱(大陸間弾道ミサイル、潜水艦、戦略爆撃機)を持つのは我々と米国だけだが、ロシアの方が近代的だ」と挑発した。
もちろんプーチン氏の「本気度」は不明だ。
だが北大西洋条約機構(NATO)元高官のウィリアム・アルバーク氏は、ロシアが仮に欧州で使用する場合、核だけではなく通常兵器と組み合わせて攻撃し、米軍からの援軍を遅らせる方法をとると具体的に予想する。
https://mainichi.jp/articles/20240530/k00/00m/030/166000c#:~:text=%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE